第4章 一円玉の詩
砺波市・十年明付近で、タクシー強盗が起きた。
「やはり、庄川と福野で起きた強盗事件と同じ手口ですね。」
と、鎌仲刑事は言った。
「という事は、一連のタクシー強盗は同一犯の可能性が高いですね。」
「ええ。」
「ん、どうした。」
「班長、これは何ですかね。」
と、新井刑事は言った。
「これは多分、1円玉だな。」
「犯人が落としたのかな?。」
先日から、砺波と福野でタクシー強盗が相次いでいた。
そして、砺波で起きたタクシー強盗は強盗殺人に切り替えられた。
「死因は、ネクタイによる絞殺と思われます。」
「ほう、なるほどね、つまり犯人はタクシーを降りようとした後に殺害して、現金を奪って逃走したと言うのね。」
調べた結果、犯行に使われたネクタイと犯人と思われる袋から指紋が検出された。
「やはり、犯人は別人ですかね。」
「とにかく、目撃者を探してみようか。」
「ええ。」
南班は、タクシー強盗殺人事件目撃者探しを開始した。
「ああ、そういえば息子を連れてきた男がいたわね。」
「えっ、子供を連れた男ですか。」
「ええ。」
早速、南は谷口課長に報告した。
「やはり、一連のタクシー強盗事件は別人で、この事件の真犯人はその子連れの男の可能性が高いわね。」
「ええ。」
「課長、南班長。」
と、そこへ新井がやって来た。
「おう、どうした。」
「目撃者が見つかりました。」
「えっ、それは本当か。」
早速、その男から聞く事にした。
「何、その男がタクシー事件と関係しているのか。」
「ええ。」
「歳は、34歳ぐらいの男でした。」
「その男が怪しいって事か。」
「はい。」
南と新井は、目撃者の証言によりその男を追う事にした。
「すいません、警察のものですが十年明で起きたタクシー事件の事で聞きたいんですが。」
「はっ。」
と、男は刑事を見たら逃走した。
「待てーっ。」
南と新井と山田は、その男を確保した。
「確保。」
「観念しなさいっ。」
「友沢 明彦、強盗殺人の容疑で逮捕する。」
と、新井は友沢に手錠をかけた。
取り調べで、友沢はあの日、砺波からタクシーに乗って砺波総合病院へ行く途中でお金を払おうとしたら、拒否されて許せなかったから殺害したことを自供した。
そして、三日後。
庄川と福野と砺波で起きた、タクシー強盗犯の犯人矢野 紀夫を逮捕した。そして、南が打つベレッタМ92で発砲した。
「動くなっ。」
「そこまでだ!、矢野。」
矢野は、ギャンブルによる借金による返済で強盗殺人を行った事を自供した。
「友沢は、タクシーの運転手に金を払おうとしたが、1円玉はダメだと拒否されて殺害したと、犯行後に矢野がやってきてタクシーの売上金を奪って逃走したと。」
「あのタクシーの運転者が言っていた1円玉の規定、何という法律だったけ。」
「あれは確か、臨時通貨法と言う法律で1円玉は20個まで強制通用すると規定になっていたな。」
「つまり、21個以上使う際は相手の同意がいる、同意がないと使えない。」
「こんな法律もあるんですね。」