表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

リバース

コメント下せえ

畑からトマトを取って来てほしいと祖母に頼まれた。今日はハヤシライスでも作るのだろうか?

特に断る理由もなく暇なので、籠を手に下げ、神社の角を曲がるとすぐの畑へ向かった。

空はクレヨンの青のように鮮やかな色をしている。日光が痛いぐらいに感じる。

額を伝う汗を拭き、5個ほど真っ赤に熟したトマトを手にとって籠に入れた時、

突然、寒気が走った。風邪でも引いてしまったのだろうか。いや、違う。何か視線のようなものを感じる。後ろを見るのが怖い。

意を決して、振り向くと、電信柱の所に誰か立っている。

赤い服と帽子、マスクの女。帽子の影ではっきりとは、見えないが、ギロリとこちらをにらんでいる。

ハッと息をのんだ。


まさか。

間違いない。逃げなきゃ。

自分の家を目指して一気に走りだした。

だいぶ距離を離したはずなのに、振り向くとまたさっきと同じぐらいの距離の場所に女が立っている。

絶望してまた走り出す。

「うわぁぁ。もうやめてくれ。」一瞬、眼を閉じた。

もう一度、目を開けると後ろにいたはずの女は自分の目の前にいた。


三日後、少年の死体が発見され騒ぎになった。


「今回ので3件目か・・・。保護区域にDEVIlが入り込んでるなんて。」

ため息をついて、煙草をくわえる。

ここ20年の間に日本は、呪い、化け物の類に一気に呑みこまれてしまった。

もはや呪いが無い地域の方が少ないほどだ。

呪いの地域、化け物、呪いの道具、物質。

そういう物の存在が普通になってしまった。

人間をそこから切り離すために、意図的に作られた空間。それが、保護区域(サンクチュアリ)である。

不意に肩を叩かれた。

振りかえると、ごつい体つきの大男と華奢な少年が立っている。

大男は、仕事では上司に当たる元木だ。もう一人の少年とは面識が無い。

「佐藤、新入りだ。噂の「転生」(リバース)・・。」

二人は向かいの椅子に座った。

「元木さん。あんた、仕事は?」

元木は、少年の肩に手を回して、ニヤニヤしている。

「今日は、新人指導なんだ。」

少年は居心地が悪そうに軽い会釈ををした。

今度、自分の部隊に入る新人のようだ。

「エーと、僕は君の担当の指揮官になる佐藤 守です。君・・・名前は?」

「坂田 勝です。」

華奢な体つきとは、逆に古めかしく堅苦しい名前に感じる。

「よろしく。」

「はい。」

時計が午後2時を告げた。

「じゃあ、佐藤。俺はこいつを自室と食堂に連れてかなきゃならないんだ。」

「あぁ・・・じゃあまた今度。」


いろんな人間がいろんな人間を恨み、日本はいつの間にか「呪い」は政府が存在を認めるほど蔓延してしまった。同時に、凄惨な事件によって生まれた「口裂け女」「ダルマ女」のような化け物がうろつくようになった。結果的に人間は数限られた「サンクチュアリ」とよばれる保護区域でしか暮らしていけなくなった。

ここは、霊能現象から保護区域(サンクチュアリ)の人民を守るための「政府公認機関ナイト」のは基地だ。

「転生」(リバース)とは、霊能現象が頻繁に起こるようになった20年前から、頻繁に現れるようになった人間の突然変異である。いわゆる前世の記憶を一部、持ったまま生まれた人間のことだ。頻繁に現れるとは言っても希少種である。政府では、化け物たちへの戦力、霊能現象の研究などに使われ、重宝されている。実際のところ自分でも会うのは初めてだ。


吸殻を灰皿に捨て、空を見上げる。自室に戻って映画でも見よう。そんなことをぼんやり考えながら、ゆっくりと廊下を歩き始めた。


コメントォオオ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ