母の友達曰く、人生とは…
「人生って、人生ゲームらしいよ」
「は?」
突然そんなことを言い出した母に胡乱な目を向ける。
「いきなり何?」
「いやねー、こないだミーコとメッセージのやり取りしてたら、ミーコがそんなこと言ってたの思い出してね」
「母さんの友達か。なんでそんな話になったの?そもそもどういう意味?」
「えーたしか、あんたがこないだテストで赤点取りかけたことを愚痴ったのが発端」
「発端がヒドイ。というか、どうしてその私の心を削る愚痴がその『人生は人生ゲーム』って言葉に繋がんのよ?」
「だからね、その言葉の意味に繋がんのよ。ミーコ曰く、『“人生”って“人生ゲーム”と同じで、いろんな選択や分かれ道がある』って意味らしいわよ。『人間はみんな“人生”っていう時間の暇をつぶすために人生を送ってる』ってさ」
「あーね。なんか、なんとなくだけど意味分かったわ。相変わらずいうことがすごいよね、ミーコさん。その考え方なんかイイね。しかもさ、人生ゲームって選択決まっちゃってるし、止まる場所もランダムだけど、人生の方は、自分自身で選択肢も止まる場所も決められるもんね。なんかそれだけで得した気分」
「ねー。そうやって考えると、気分が楽になるよね」
「うん。それに、まだ死んだことも、死をみたこともないから言える無神経な言葉だけどさ、その考え方すると、もし自分の人生が他人よりも早く終わって死んじゃっても、周りよりも暇な時間が少し短くなったってだけって感じ、みたいな?」
「その逆も然り、だね。あんたが赤点取りかけたの愚痴ったらミーコが『そんなん自分の人生のことじゃなくてよかったじゃん』って言われたんだよね。そっから『人生は人生ゲーム』って言葉に繋がる」
「そこで繋がんのか。まず、『なんでその話になった?』っていう質問したのを忘れかけてたよ。ミーコさんの話のインパクトが強くて」
「うん。自分の子供とはいえ所詮は他人だから気にしすぎない方が良いって言われた」
「ドライだねぇ。だからこそ、なのかね」
思考回路が斜め上だったり、普通の人ならば思いつかないようなことを思いついて実行に移したりする、所詮“天才”が母の友達には多い。
まぁ、そんな人達と長年仲良くやれてる母も十分同類だが。