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戸惑っているだけ

オム:リリちゃんごめんね!昨日疲れていたから返事しないまま知らないうちに寝ちゃった。リリちゃんも疲れたよね。バイトお疲れさまです。昨日は本当にありがとう。すごく楽しかったよ。パフェもフルーツサンドもおいしかったね。私、リリちゃんにずっと会いたかったからうれしかった。また遊ぼうね。


以上が朝届いたオムちゃんからの返信である……。

この文を見て、あの男性が書いたとは想像しにくい。

返信の仕方を間違ったらまた泣かせちゃうんじゃないかと、悩んだ末になるべく今まで通りに返信した。


リリ:おはよう。そんなに気にしないで。大丈夫だよ。次は何を食べに行く?


私も別にオムちゃんが嫌いな訳じゃない。どうでもいい話をずっと続けられるのって貴重な存在だと思う。ただ可愛い女子というイメージとかっこいい男子という現実が重ならなくて戸惑っているだけ。

いつかは美しい顔を見るのも慣れるかな。


お昼に学食で由依(ゆい)と話の流れで、うっかり昨日のオムちゃんの話をしてしまった。

「やめた方がいいと思うなぁ。」

由依は想像通りで真っ当な反応をした。

「だよね…。」

「今まで言ってなかったけど、去年3ヶ月、韓国人と付き合ってたんだ。」

「え!いつ?全然分からなかった。」

「ハロウィンとかクリスマスイベントのせいで莉里(りり)がバイトで死んでた頃だったからね」

確かにイベント時期はファミレスのバイトで忙しすぎたから記憶がない。バイトと家の往復で時々大学だったな。

「何が辛いってメールで日常を共有するのが辛かった。」

「えー?楽しくない?」

「1日に10回とかなら、まだ許せるの。余裕で100回は送ってくるから。おはようとかおやすみはいいけど、トイレ行くとか、ゲームするとか、そんなの勝手にしろ!って思わない?」

「それ、その人が特殊なんじゃ…?」

「そう思ったけどね。K-POP ファンの先輩達に聞いたら割とそういう人が多いみたい。とにかく嫉妬深いし、監視されてるみたいで。サークルの男の先輩に挨拶していただけで、キレられたこともあるんだよ!ヤバいよね。最終的にK-POPのライブに行くなって言われて、大喧嘩してサヨナラ。」

「みんながみんな、そんなひどい人なのかな…?日本人だって束縛したり、ひどい人いるし。」

「同じ日本人同士でさえ見極めるの難しいのに、外国人はもっと難しいはずでしょ。軽々しく会っちゃだめだよ。無事に帰れてよかったけど。」

「そうだね…。ていうか、そんなに辛かった時、何にもしてあげられなくてごめん…。」

去年のクリスマスを思い返しても、ひたすら皿を洗ったり、店頭でケーキを販売した記憶しかない…。


由依の話はだいぶ偏見もありそうだけど、確かに私はオムちゃんが日本語で話してくれなければ見極めるどころか何も分からない。

でもオムちゃんは、束縛はなさそうだなぁ。どちらかというと我慢して泣いちゃいそう。

想像したら可愛くて仕方ない。泣かせないように守ってあげたくなる。

理性では、もう会ってはいけない人だけど、また会いたいな。

そんなことを言ったら由依に怒られるけど。

このまま緩くオムちゃんからフェイドアウトしなきゃ。

平凡すぎる日常に、昨日はあまりにも刺激的だった。癖になる前に忘れよう。

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