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報告と無理難題

なんでギルドマスターの部屋に女の子がいるの?しかも結構可愛い顔してるし。もしかしてギルドマスターの子供⁉


「あのエレシアさん。その女の子は?」


エレシアさんはとても大きなため息をついた。

その横で女の子は足をぶらぶらさせている。


「この子は私の姪っ子なんですけど、今日は姉がとても大事な仕事があるからと言って私に預からせたんです。私だって大事な仕事をしてるんですけどね‼」


エレシアさんがやけに怒ってたのはその子が原因だったのか。そりゃギルドマスターなんていかにも大変そうな仕事をやってるのに子供の面倒まで見てると疲れちゃうか。

俺が女の子の方をジーっと見ていると見られていることに気づいたのかこっちを向いて笑った。


天使だ...


「まぁこの子のことは気にしないでください。この子はただお仕事の内容が見たくてここにいるだけですから。それでゴブリンキングのことですが本当にあなた一人で倒したんですか?それも素手で。」


俺はスキルのこと以外の出来事を全て話した。


「なるほど。ゴブリンキングが舐めてかかってきてたためなんとか倒せたんですね。それでも素手で倒せるものではないんですがね‼ではもう話すことはないので出ていいですよ。ゴブリンキングを倒してくれた報酬金と依頼には示されていなかったこちらの不手際で謝礼金も払っときます。それでせめて装備の何個かは買っといてください。でないとあなたはすぐ死にそうです。」


俺はそのまま追い出されるように部屋から出された。

確かにあの時も危なかったから、装備の何個かは買っとかないとな。

あいにくギルドからもらったお金があるから少しはいい装備が買えるな。

装備だったらやっぱり剣とか?でも折れちゃったりしたらまずいしな。主にお金が。


その時俺にある考えが浮かんだ。

そうだ。扱い方を覚えなきゃいけない剣よりも殴ったほうが効率がいい!

手をおおえるような武器...ガントレットとかがいいかも。


俺はいい武器が売っている店を知らないのでギルドの受付のおっさんに聞いてみた。


「ねえおっさ...すみません。」


いつも心のなかでおっさんと言ってしまってるのでつい言ってしまった。


「ハハハ。いいよいいよ。俺の名前はスアットだ。覚えといてくれよ。」


心の広いおっさんで良かった。


「すみませんスアットさん。いい武器が売っているお店をどこか知りませんか?ガントレットとか売ってそうな。」


「うぅん。ガントレットは売ってないがオーダーメイドで武器を作ってくれるとこなら知ってるぞ。そこでついでに装備も作ってもらったらどうだ。」


オーダーメイド!俺の好きな風に作ってもらえるの⁉

だけど一番の問題は...


「でもお金が足りますかね?」


「俺は知ってるぞ。さっき兄ちゃんに結構な額のお金が支払われていたのをな。それくらいあれば足りるだろ。」


「そうですね。そのお店の名前はなんていうんですか?」


「あぁそこの名前は...」





俺はスアットさんに教えてもらった鍛冶屋の前にいた。

鍛冶屋の名前はデモン鍛冶。

比較的ギルドから近い場所にある。というか目の前である。

俺は扉を開けて中に入った。剣や防具一式などがたくさん並んでいたがカウンターには誰もいない。

カウンターの奥があり時々金属音が聞こえてくる。


「すみません。装備をオーダーメイドしたいんですけれど。」


俺が奥に声をかけると中から人が出てきた。

いや額に立派な一本角が生えた赤色の髪をしている鬼人が出てきた。結構歳はいってるようである。


俺がスアットさんから聞いたのは鬼人が鍛冶師として店をやっているところだ。

気が難しいが造ってもらうものはすべて高品質なものになっている。

だが一つ問題があって鬼人が造っているため人が使えるようには考えておらず剣だったら重くて新人冒険者には到底使えない代物となっているらしい。

そのため装備の値段も一級品ではあるが安くなっている。

だが俺の高いステータスがあればそれらも使えこなせるだろうとここをスアットさんが教えてくれたのだ。


「わしはデモンだ。お前がうちの装備をオーダーメイドしたいと。知ってると思うがうちの装備は素人には使いこなせねえぞ。お前は大丈夫なのか?」


鍛冶屋に自分の名前をつけてるタイプね。なるほど。


「俺はステータスが高いんで大丈夫です。」


そう答えるとデモンさんは顔をうつむいて少しだけ考えるようにしてすぐに顔を上げた。


「それが本当かどうか確かめてやる。ついてこい。」


知ってた。うん。気が難しいって言ってたし、こんな明らかな新人が大丈夫って言っても信じてもらえないよね。うん。


俺がデモンさんに案内されたのは小さい部屋だった。

部屋の真ん中にはとても硬そうな金属製と思われるマネキンがおいてあった。そして謎にマネキンは斬れ味がありそうな剣を持っている。


「ほら。あのマネキンを斬ってみろ。そうしたらお前の装備を造ってやる。」


俺はデモンさんから刃渡りがまぁまぁ長い剣を渡された。

これで?いや流石に金属製のマネキンを斬るのは無理でしょ⁉

だけど装備を造ってもらうためなら仕方ない。


「装備を造ってもらうためならなんだってやってやる!」


俺はデモンさんから剣を受け取った。俺が持っても結構な重みを感じる剣だ。

俺は剣を振り回すようにして剣でマネキンに斬りかかった。


キンッ


攻撃はマネキンが持っていた剣によって弾かれた。腕が少し痺れる。

俺は少しよろけたが体勢をなんとか整えた。


予想してたけど流石にマネキンが剣を弾き返すのは無理だって‼

ただでさえ斬れそうにないのに弾かれるんじゃ無理だって‼

俺の頭に若干の絶望がよぎった。


「お前さんの初手は弾かれたぞ?そんなんでわしの装備がほしいと言ったのか?」


デモンさんが煽るように言った。


「今のは少し油断しただけだ。」


俺は若干の焦りを紛らわすように言った。


実はデモンが造ったあのマネキンも相当なもので剣を普通に当てただけでは斬れないようになっていた。

ある場所だけ体同士が外れやすくなっていてそこに剣を当てることで斬れるようになっていた。

だがそれでは剣を振り回していたらいつか斬れてしまうのでマネキン自体が動くようにしてある程度の攻撃は弾けるようになっていた。


マネキンが動くことによって俺にも一つだけ勝算があった。

俺はそれを実行するために剣を放り投げた。

デモンさんはマネキンを斬ればいいとしか言っていない。あの剣で斬れとは言っていないのだ。

俺は素手でマネキンに殴りかかった。

マネキンはそれに反応して剣で攻撃を弾こうとした。

だが俺は素手である。手を剣で斬られたらただではすまない。それを利用するのだ。


(スキル【等倍反射】が発動されました。)


そう声が聞こえると同時に視界からマネキンが消えた。

俺が下を見るとマネキンが胴からきれいに斬られていた。


俺の作戦はこうだった。

まずマネキンの剣が俺に当たるように誘導する。あのマネキンは攻撃に反応して動くようだった。

俺の剣が弾かれたということはあのマネキンは相当な力が出せるということ。そこに俺のスキル【等倍反射】によって2倍の威力で跳ね返すことによってマネキンが自滅することを誘発する。

俺のスキルのことを誰も知らないので魔法かなにかで斬ったのだと思われるだろう。


こうしてナオトは全く正規ではない方法でマネキンを斬ったのだ。


「なるほど。魔法かスキルでマネキンを斬ったのか。」


「デモンさんはマネキンを”斬れ”としか言ってないからこれもOKでしょう?」


「それもそうだな。いいだろう。お前はどんな装備がほしい?」


「俺は手につけるような...ガントレットとかがいいです。防具の方は動きやすいように、胸と肘、膝を守れるような最低限の防具がいいです。それだったら防具はどんなのでもいいです。ガントレットはできれば俺は魔法が使えないので魔法みたいなのを使えるようになれるように...」


「お前さん結構注文が多いな。特にガントレットは魔法を使えるように?お前さんは魔法でマネキンを斬ったんじゃないのか?」


やばい。ボロ出した。でもスキルのことは一応隠しておきたいしな。


「俺のスキルでマネキンは斬りました。」


「ふぅむ。スキルか...最近は新しいスキルがでなくなってきたがまだそんなものが。いいだろう。面白いもんを見せてもらったからな。お前さんの防具を全身全霊込めて造ってやろう。」


「ありがとうございます。お金はこれで足りますか?」


俺はギルドから受け取った大金が入った革袋取り出した。(ギルドからの借金は返済済み)

デモンさんはそれを確かめるように中身を見た。


「これで十分だ。ガントレットは少し時間がかかりそうだから先に取り掛かるが、それでも時間がかかるからそれまで自由にしとれ。出来たらギルドから伝える。」


俺はデモン鍛冶を出た。

初めての武器が手に入ることの高揚感が止まらなかった。

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