外伝:アクル
閑話なため今回は短め。
俺は今ある男を、殺してやりたいほど憎んでいる。
俺の名前はアクル。
キング・サタンという名前で冒険者をやっていた。
だがあの男に邪魔されてから、俺の人生はことごとくうまくいかなくなった。
俺があの男に復讐をしようとして返り討ちにあってから俺は、冒険者資格を剥奪され依頼を受けらなくなり財布の金が尽きようとしていた。
もうこうなったら堂々と悪行をしてやる!今更失うものなんざ何もねえからな。
俺はちょうど近くを通りかかった行商人に目をつけた。
馬車も使わず護衛の一人もつけない馬鹿だ。行商人に金がないのかもしれないが、あのカバンに入っている荷物の中身を盗って売ればそこそこの値段にはなるだろう。
俺は行商人の前に手を広げ立ちふさがった。
「おいお前。持ってる荷物を大人しくよこせ。そうすれば命は助けてやる。」
すると行商人はガタガタ震え始めた。そして震える手で荷物を俺に渡した。
「話がわかるじゃねえか。約束通り命だけは見逃してやる。」
チッ。中身全部ガラクタだらけじゃねえか。
その時俺はあることに気づいた。
まずい!こっちに冒険者が近づいて近づいてきてやがる!この現場を見られれば捕まる!
すると行商人は俺が動揺してる間に冒険者の元へ走り助けを求めに行った。
終わった。俺はこういう時に運が無いんだ。毎回そうだ。
だが冒険者は行商人の話を聞いてるが一向にこっちに来ようとしない。
俺は不思議に思い隠れながら少しずつ近づき話を聞いた。
「だから盗人に私の荷物が盗まれたんです!」
「だからそれがどうしたんだ。そいつには罪は問えない。」
「なんでなんです!立派な犯罪でしょう⁉」
「だから...ってなんでなんだろう?とにかくだ。そいつは罪には問えねえんだよ!」
どうやら行商人はさっきから必死に説明しているのに冒険者に取り合ってもらえないらしい。
あいつら俺から見てもひでえ奴らだな。普通はそんなやつがいたら即刻捕まえて罪に問えるのに。
なんでだ?あいつら自身も理由がわからなそうなのを見ると、めんどくさいから断ってるわけじゃなさそうだしな...
俺はある考えが頭に浮かび冒険者たちの目の前に出た。
「おい。お前ら盗人の俺を捕まえないのか?」
「あぁ。捕まえる意味もない。」
「なぜだ?俺を捕まえたらギルドから少ないが報酬金も出るぞ?」
「なぜかはわからないが、お前は罪に問えないから無駄だ。それがこの世界のルールだからな。」
「この世界のルール?どういう意味だ?」
「俺がそんな事を言ったのか?」
どういうことだ。この世界のルールってどういう意味だ?
だがいい。今の質問で確信はないが分かったことがある。俺のことを誰も罪に問えないということだ。
俺がそう気づいてからはリミッターが外れたように犯罪を起こしまくった。
街の店で物を盗みまくった。だが不思議と俺が捕まることはなかった。
そして俺はたまたま見つけた洞窟で暮らしていた。
だがまだ人は殺していなかった。まだ俺にそれだけの覚悟がないのと最初に殺すのはあの男だって決めてるからだ。あのいけ好かない顔をしたあいつを殴ったあいつを。
(お前のその願いを叶えることができるぞ。)
なっ!今どこから声が聞こえてきた⁉
(俺と契約すればお前はあいつを倒すことのできる力を得ることができるぞ。)
「どこだ!どこから俺に話しかけている‼」
(ここだ。)
そう声が聞こえたあとあの時行商人から盗んだカバンから紫色の光が出た。
俺が慎重にカバンを開けると黒色の鎖で覆われたような装飾がされている丸い玉が光っていた。
(そうだ。俺がこの中に封印されているんだ。この玉を割ってくれればお前に力を与えよう。)
俺に力さえあればあいつに復讐することもできる。だがこんな怪しい交渉にのっても本当に力が与えられるかわからない。
(お前は迷っているな?俺をここから出してくれれば本当に力を貸してやる。俺は悪魔だからな。)
昔に存在していたという悪魔が⁉だがそれが本当なら悪魔は契約を破れない。
「分かった。お前の交渉に乗ってやる。」
(いい選択だ。さぁやるんだ。)
俺は持っていた玉を思いっきり地面に叩きつけた。すると玉が粉々に割れそこに黒く怪しく輝いた魔法陣が現れた。そして魔法陣から二枚の大きな羽を持った大きな悪魔が現れた。きれいで禍々しい黒いオーラを纏っていた。
「ハッハッハッハ!礼を言うぞ!俺は恩義を大切にするから、約束通り貴様と契約をしてやろう。俺はサタンだ。それにしても貴様はいい野望を持っている。それに貴様は世の理を変えられているな。これは面白くなりそうだ。」
悪魔は俺に手を差し伸べてきた。
俺は悪魔の放つ威圧に耐えきれず地面に座り込んでしまっていた。
そんな俺に悪魔の契約を断ることが出来ずに手をとってしまった。




