画期的なデザインの首飾り
俺とアカネはオークの森へと行った。アカネが気になることがあると言うので確認に来たのである。俺としてはいい思い出も何もないので来たくなかったのだが、アカネはここに行くと言ってくれなかったのでついていくしかなかったのだ。
「おい、そろそろ教えてくれよ。何が気になったんだ?」
「もうっ、しつこいよ!」
アカネがこちらを鋭く睨んだ。
「すみません。」
俺はつい謝ってしまったが、本当に教えてくれてもいいと思う。男として情けないと言われようと、早く帰りたいのだ。俺たちが森の中を歩き続け、ある場所へとついた。
「ナオト、ここ。」
「なんだ?なにもないぞ。」
「ここは私達が前にオークを倒した場所だよ。」
「オークの死体が無いっていうのか?それは他の魔物に食べられたんだろう?」
アカネは横に首を振った。
「いや、食べられたんだったら骨は残るはず。だけどここには骨も何もない。あとこれを見て。」
アカネは地面に向かって指を指した。アカネが指を指した地面は一部分がえぐれていた。まるでとても重い何かを引きずったかのように。
「これってまさか。」
「そう。多分何者かがあのオークをどこかに持ち去ったと思う。」
「何者かって、あのオークを持っていってメリットがあるのかよ。」
「あるよ。もし誰かが意図的にあのオークを強化種にしたんだとしたら?」
「まさかそれって...」
言われてみるとそうだ。普通オークの強化種といえど魔法が効きづらいのはおかしい。普通の強化種は力が強くなっていたり、知能が上がっていたりするだけだ。もちろん急に魔法が使えたりするようになることもない。だがあのオーク達は竜みたいに炎を吹いた。
ここまで怪しいと誰かの策略を疑うのも無理はない。
「そこでこの跡の先を辿って、どこに着くのか確かめたかったんだけど...」
アカネが目を向けた地面のえぐれは途中で切れていて、辿ろうにも辿れない。これだと何の手がかりも得られない。
「これ以上探すのは無理だろう?」
「そうみたい。」
アカネが諦めてくれたしそろそろ帰るか。さっきから森の中になにかの鳴き声が響いているのが、不安を煽る。この鳴き声は...
「キィィィッ‼」
その時俺の上の方から鳴き声がした。急いで上を向くとコウモリが牙をむき出しに俺を襲おうとしていた。
「やっぱりか。」
俺はコウモリが近づくとはたき落とした。鳴き声が聞こえてきた時点でガントレットを付けていた事もあり、地に落とされたコウモリはぐちゃぐちゃになってしまった。実はこれはコウモリではない。前世でのコウモリに外見があまりに近かったためそう呼んでしまったが、コウモリもどきという魔物だ。
(だったら本当のコウモリはどこにいるのかって?この世界にいないぞ。)
これもギルドにあった本で学習済みだ。死んだ魔物の血肉を喰らう魔物でハイエナみたいな奴だ。そして一番厄介な特徴がある。このコウモリもどきが強い魔物の魔石を食べるとその力を奪うことができるのだ。だが俺はオークの魔石を全て回収したため、コウモリもどきに食べられ強強チートコウモリが生まれることはない。実際今のも弱かった。
「コウモリもどきも出てきたし、急いで帰るぞ。」
アカネに聞くとアカネは頷き、俺を置いて先に走っていってしまった。少しは待とうとか思わないのかな?
俺はアカネを追いかけ走っている間あることを考えていた。
魔石で思い出したが、アカネはオークの魔石を美味しそうに食べていた。そして普通の人は食べたらだめだと言っていた。そもそも俺は転生をしている時点で普通ではないし、アカネも同じはずだ。そのはずなのに俺に食べてはだめだと言った。どういうことだ?
(だったら僕が教えてあげようか?)
どこからが声が聞こえてきたような。足を止め周りを見渡しても人はおろか生き物もいない。幻聴が聞こえるほど俺は疲れてるのか。
(いや、こっちだって!横を見ろよ!)
俺が声の通りに横を見ると謎の光の玉が浮いている。俺は反射でそれをはたき落とした。
(ヴッッッ⁉)
やべっ。コウモリもどきだと誤解し、手がとっさに動いてしまった。
(お前僕をあんな醜いのと一緒にするなよ?僕は極悪非道な赤い悪魔に使役されている可哀想な妖精なんだ。もっと丁寧に扱えよな!)
心の声が漏れていたようだ。アカネが契約している妖精か。サラリとアカネの事をボコボコに言っていた気がするがどうなんだろうか。
(そんな事はいいんだ。アカネの事が知りたいんだろ?だったら僕が教えてあげるよ。)
「そうだけど、流石に女の子だし勝手にそういう事を聞くのはちょっと引けるな。」
今度は声に出していった。
(ビビるなよ〜?あの極悪非道な悪魔の弱みを握れるんだぞ?こんなチャンスもう来ないかも知れないんだぞ?)
そう言われても勝手に聞くのは申し訳ないしな。ここは断るか。聞きたいけど。
ん?なんかものすごい勢いで走ってくる影が...
「アカは何やってるの?」
にっこりと笑っているアカネがアカの前に立っている。俺は空気、空気、空気。
「ナオトは何も聞いてないんだよね?」
「もちろんです‼」
本当に何も聞いていないのだから正直に答える。でないと命の危険を感じるほどの笑顔の圧がっ!
「じゃぁアカは余計なことを言わないようにね?」
(この悪魔めっ。)
アカは懲りないでアカネに向かい悪態をつく。
「そういえば最近アカって瓶の中に入ってないよね?そろそろ恋しいんじゃないの?」
なにそれ。妖精を瓶に入れるって拷問だろ。見てみたい気がするがさすがによしとこう。
(まったく恋しくありません!)
折れるのが早いな。さすがに瓶の生活は嫌だよな。ん?最近入ってないっていうことは前までは...
アカネってもしかしなくても結構腹黒か?
「ナオトはさっきからしゃべんないけど何か考えてるの?」
「何も考えていないですう!」
考えていたことがバレれば命がっ‼
「そろそろ帰りませんか?向こうからコウモリもどきの鳴き声がかすかに...」
俺が恐る恐るそう言うとアカネはまたもや俺を置いて走っていった。もしかしてアカネってコウモリもどきが苦手だったりするのか?
「キィィィッッ‼」
「痛っ!」
俺が思考を少し変なことに割いていたら、首元をコウモリもどきに噛まれてしまった。コウモリもどきの牙が首に深く刺さり神経を刺激する。
「口を離せよ!あっ、血を吸うなよ!返せ!ってその前に離れろよ‼」
コウモリもどきはなぜか俺の血をずっと吸っている。血を吸われている感覚も気持ちが悪い。こうなったらしょうがない。かくなる上は...
俺は右手でコウモリもどきの首を掴み魔法で電気を流した。コウモリもどきは体が痺れたのか血を吸うのをやめたが、牙は俺の首の横に刺さったまま抜けない。コウモリもどきが動かなくなったし俺が自分で首から離そうとするも。
「そろそろ離れてく、痛っ!」
牙が思ってる以上に深く刺さり抜こうにも痛くて抜けない。まじでどうしよう。
「ナオトどうしたのそれ?」
「ちょっと噛まれて抜けなくなちゃったんだよ。」
結果、コウモリもどきを首に付けたままアカネと合流した。アカネは若干ビビっている。
「こっちに来ないでね?ナオトもろとも燃やしちゃうかもしれないから。」
「分かった。絶対近づかない。」
アカネはやっぱりコウモリもどきが苦手なのか。俺の首のコウモリもどきは電気で麻痺して動けないでいる。実を言うと俺も若干感電してしまって、手の指先があまり動かない。結局俺はコウモリもどきをギルドに戻り取って貰ったのだった。治療費と言って銀貨1枚とられたがあのまま一生コウモリもどきと過ごすのは嫌なので、仕方ない。
そういえばアカネはなんでコウモリもどきが苦手なのだろうか。
「アカ、いるか?」
俺は宿の一人部屋でアカを呼んだ。もし近くにいるならこれで反応するはず。
(僕に何か用かい?残念だけどアカネの弱点とかは教えれなくなってるんだ。)
「じゃぁアカネがなんでコウモリもどきが苦手かは言えるか?」
(それはアウトラインかな。)
これがアウトラインって。相当アカネは自身の事を人に知られたくないのか。そもそもアカネが魔石を食べたことについても有耶無耶になってたな。
そこで俺はある結論にたどり着いた。
アカネは人以外の種族だ!ここは異世界だしエルフや獣人がいても不思議ではない‼まだ会ってないけど。それでも魔石を食べれる説明がついていない気がするがいいだろう。考えても仕方がないのだ。




