オーク殲滅作戦3
少し投稿が遅れてしまいました。
本当にアカネは俺と同じ転生者なのか?
というか人であるかどうかも怪しいな。
「特別ってどういう意味なんっ」
俺がアカネに聞こうとした時、最悪の事態が起こった。
「ギャァァァーー‼」
森の入り口から叫び声が聞こえた。
「あっちはみんなが逃げていった方向だよ!ナオト!」
入り口は俺とアカネ以外の冒険者が逃げた方向だ。冒険者が集まっているため普通のオークに手こずるはずもないが、それでも叫び声が聞こえてきたということはある可能性が出てくる。
「あぁ。」
俺とアカネは声の聞こえた方へと走っていったが手遅れだった。
そこには血まみれの3頭のオークと血を流している冒険者たちがいた。
冒険者の4人が立ってまだオークと戦っている。他はみんな倒れていた。
「みんなどうしたんだ⁉」
俺はかろうじて意識がある冒険者の一人に声をかけた。そいつは息を切らしながらも話した。
「お前は...死にかけの目撃者か。」
おっと、声をかける相手を間違えたみたいだな。こいつは見捨ててもよさそうだ。今度は他の息がある冒険者に話しかけようとした。だがそいつは話を続けた。
「俺のことともうすでに息のないやつはおいてっていい。だが生きてるやつだけは無理でも連れてってくれ。」
このセリフに少しは見直した。”少し”だけだからな。死にかけ呼ばわりは一生許さない。
「お前の頼みは分かった。だがその頼みを受け入れるわけにはいかない。」
「お前っ‼」
俺が断るとそいつは今にも掴みかかってきそうな目を俺に向けた。俺はその目も気にしない。
「なぜなら俺は...
(主人公でも英雄でもない、俺は俺の欲望のままに)
危機的な状況からお前らを助けたっていう”名誉”が欲しいからなっ‼」
そう言い切るとそいつは固まってしまったがどうでもいい。先に怪我をしている冒険者達の傷を治さないと危ない。
ガントレットの魔石が生み出す魔力も借りる。そしてアカネが俺に使えると言っていた治癒魔法を今ぶっつけ本番で使う。失敗したら俺は人殺しの罪を一生背負ってやる。まずはこいつからだ。見た所出血はないがオークに殴られたからか足の骨や肋骨が折れてる。骨が折れている所をくっつけるようイメージする。前世で保健の授業で習っただけの知識だが、後は魔法がなんとかしてくれると信じる。あとはどうにでもなれ!
その瞬間俺の手から温かいような光が漏れた。光が消え俺が手をどけるとそいつは驚いたように目を開き、足を動かしていた。
どうやら骨はくっついたようだった。
「後は無理するな。お前も他の奴らを運ぶのに手伝えよな。」
「あぁ。分かってる。その、ありがとな。」
そいつは少し照れながらもお礼を俺に言った。そして思う。
(男のデレほどいらないものはないな。)
そういえばオークと戦っていた冒険者たちのことを放っておいてしまった。やられていたりしないだろうか。
今頃だが、心配になりオークたちの方を見ると3頭のオークは輪切りにされていた。輪切りのオークの目の前でアカネが俺の方を見てドヤっていた。戦っていた4人の冒険者達は腰を抜かしてしまっている。見た所4人の冒険者の怪我は擦り傷だけだ。
他の倒れている冒険者の治療を優先していいな。
俺は他の冒険者の治療に向かおうとすると、アカネがものすごい勢いで走ってきて文句を言ってきた。
「なんで何も言ってくれないの⁉頑張ったねの一言くらい言ってくれてもいいでしょ‼」
「いや恋人じゃないんだし言うわけないじゃん。それよりも倒れてる人たちの怪我を治すからアカネも手伝ってよ。」
そう言うとアカネは少し目線をそらした。なにか怪しい。
「いや、そのことなんだけど。」
アカネは俺の近くまできて耳元で喋った。
「実はアカと少し揉めてて治癒魔法を使わせてもらえないんだよね。」
えっ?それはつまり俺が一人で全員の怪我を...
俺がアカネの顔を見つめるとアカネはニッコリと笑い返した。
そして俺は馬車馬の如く重症者の怪我を治した。残念なことに冒険者の内6人がすでに息絶えていた。
息絶えている冒険者達を置いていくわけにもいかないので、怪我が少ない人達が背負って帰っていった。
そしてギルドに帰ってきた。俺たちの姿を見るとスアットさんはこっちに走ってきた。
「おい、お前ら全員...分かった。ギルドマスターを呼んでくる。」
スアットさんは俺たちに話しかけようとしたが、息絶えている冒険者に気が付き、ギルドマスターを呼びに行った。
スアットさんはすぐにギルドマスターと一緒に戻ってきた。エレシアさんは息を切らしながらだった。
「ではあなた達、何があったのかを説明してください。」
俺たちはエレシアさんにオークをしっかり5頭討伐したことと、冒険者6名が犠牲になったことを話した。そしてオークの魔石を証拠にエレシアさんに渡した。数が少ないのは魔石を取る余裕がなかったと言い訳をした。
エレシアさんは俺たちの話を聞き魔石を受け取ると、すぐに部屋へと戻ってしまった。俺たちは犠牲になった6名の体をギルドの安置室に置いた。そして全員で手を会わせ冥福を祈った。
エレシアさんは冒険者ギルドの上への報告で忙しいらしい。どうやら犠牲になった冒険者の中の一人に貴族の息子が混じっていたらしく、厄介なことになっているらしい。貴族の息子が冒険者を副業でやっていたらしく、今回の件は興味本位で参加したらこんな結果になってしまったらしい。それで貴族がこのことに気がつく前になんとかしたいのだそうだ。
そもそも命がけの作戦に興味本位で来ないでほしい。俺は嫌悪感しかない。そんなことだから今回みたいな目にあうのだ。と今頃言っても遅いか...
まだまだ続いたギルドの職員たちの質問攻めに疲れ切った俺とアカネと冒険者たちは料理店に来ていた。
親睦会ということで全員で揃って料理を食べていた。犠牲になったものもいるが冒険者である限りよくあることだそうだ。毎回悔やんでいたらきりがない。そこでリーダーみたいな人と話していて面白いことが分かった。この人の名前はマイロというらしい。なんと最近あっていない門番のマルクの親だそうだ。マルクはマイロと違い真面目で正義感が強かったため門番の仕事についたらしい。
親睦会が終わった俺とアカネはいつもの宿(憩いの泉)に来ていた。ちなみに料理の代金は、助けてくれたお礼にとマイロが支払ってくれた。死にかけ呼ばわりのことも謝ってくれたし、マイロのことは許してやろう。
今回泊まるのもしっかりアカネと違う部屋で泊まった。あのお姉さんがまた受付にいたのだがアカネと分かれて受付に行ったので、一緒の部屋にされずにすんだのだ。アカネが受付を終わった後、俺が行くとお姉さんがこちらを見て悔しそうな顔をしっかりと目撃した。
俺が部屋で休んでいると誰かが部屋の中に入ってきた。
まさか...受付のお姉さんが俺のことを恨み暗殺にっ⁉
そんなわけがなかった。部屋に入ってきたのはアカネだった。眠そうな顔をしていらっしゃる。
「どうしたんだ。アカネ。」
「いや一人じゃ寂しかっただけ...」
アカネはそう言い、俺の部屋のベッドに勝手に入り寝てしまった。アカネがおかしい。いつもなら絶対こんなことは言わないだろう。これはこれで可愛いのだが。アカネからお酒みたいな匂いがしたのは気のせいだろうか?まさかっ!
俺はアカネの部屋へと入りあることを確認した。そうしたら案の定相当度数が高いワインが出てきた。ワインの中身はほとんどなくなっている。アカネが飲んでしまったのだろう。受付のお姉さんめ。さてはアカネを酔わせて俺の部屋へ行かせるために、アカネにワインを売りつけたな。
しょうがない。俺の部屋のベッドはアカネにとられているし、こっちの部屋を借りるか。俺はアカネの部屋のベッドで横になった。
日の光が眩しいな。そして...体中が痛いっ!
俺は次の日、強い衝撃を受け目が覚めた。目が覚めるとベッドのそばでアカネが拳を構えていた。ああ。俺の人生ってまた呆気なく終わるんだな。俺は覚悟をして次の衝撃が来る準備をした。
だがいっこうに殴られる気配がしない。
「ねえナオト、なんでナオトが私と一緒に寝てたの?」
怒気を含んだ声でアカネが言った。おっと、まだ話し合いの余地があるようだな。
「いや、俺はアカネが俺の部屋のベッドをとるから、一人でこっちの部屋に移ったんだよ。そもそもアカネは昨日でろでろに酔ってたじゃん。」
「うっ。」
アカネの視線が少し泳いでいる。
「よしっ!今日も依頼を受けに行こーー!」
誤魔化された。最初の一発目のことも謝られてないし。アカネは不満そうな顔をしている俺の手を引っ張り、ギルドへと連れて行くのだった。
俺たちがギルドへと行くと、ギルドの前が騒がしい。どうしたのだろうか。俺が人混みをかき分けギルドの中へと入った。するとスアットさんがこちらに気づき、顔面蒼白になりながらもこっちに来た。
「何があったんですか?」
「それがギルドマスターが縛り首になるらしいんだ。」
スアットさんは顔面蒼白のまま俺にそう告げた。
えっ?縛り首?エレシアさんが?なんで?




