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外伝:アクル2

今回は少し短めです。

夢を見た。

俺が知らない赤い髪色の女の子とあの憎い男と冒険をしている夢だ。

もし俺の家族があんな事にならなければそんな風に過ごせていたのかもしれない。

だがそんな未来はもう存在しないんだ。俺が復讐を果たすまで。


自分で言うのも何だがこんな俺でも昔は優しく誠実だった。昔は父やわがままだが可愛い妹もいて、裕福ではなかったが幸せだった。妹のアクモはよく俺になついていた。父はいつも太陽のような温かい顔をしていた。母は妹が生まれてすぐに亡くなったらしい。だが父は男手一つで俺とアクモを大切に育ててくれていた。

その頃の俺の夢は冒険者になって父に恩返しをすることだった。そのために毎日森に行き兎などの小さな動物たちを狩っていた。毎日狩れるわけではなかったが獲った兎を家に持ち帰ると父やアクモは必ず喜んでくれた。俺の家は王国の都市からは離れている村にあり、父は夜遅くまで農作業をしているため、俺はすることが他に何もなかったのだ。

だがある日の朝、父が


「アクル。お願いだから冒険者なんて危険な仕事だけを目指すのはやめてくれ。」


いつになく真剣な表情で俺に言ってきた。


「なんでだよ父さん!俺は冒険者になって沢山稼いで父さん達を楽にさせてあげたいんだよ。」


「お前は優しいんだ。他にも稼げる仕事があるだろ?」


父はいつも通りの優しく温かいような表情だった。

だがその表情が俺の神経を逆撫でてしまった。


「今までは何も言わなかっったくせになんで急に言ってくるんだよ⁉もういい!」


そう言い俺は家を飛び出して近くのもりに入ってしまった。

今思えば父は俺にそんな危ない仕事をしてほしくなかったんだと分かる。だが俺は子供だったため父の考えを理解できなかった。


「お兄ちゃん、暗いよぉ。」


「仕方ないか。帰るからちゃんとついてきなよ、アクモ。」


俺が家を出る時にアクモもついてきてしまっていた。だが森の中を結構進んでしまっているのでアクモを一人で帰らせるわけにもいかない。俺は父のことにまだ怒っていたがアクモと一緒に帰ることにした。

俺とアクモが家まで帰るとまだ明るいのに父が外で作業をしていなかった。いつもは夕方までずっと作業をしているのに...

それに村の様子もおかしい。誰も人が外を歩いていない。静かすぎる。俺は周りを警戒した。俺は小さいナイフを持っていたのでアクモのことなら命がけででも守れるつもりだった。


俺がアクモを背中に隠しながら家の扉を開けるとそこには黒い翼の生えた化け物がいた。ただれたような黒い皮膚で顔もただれていて見ていられないほど醜かった。化け物は俺たちの存在に気がつくとただれた足を引きずりながら近づいてきた。


「くっ、来るな‼」


俺はアクモを背中に隠しながらナイフを化け物に向けた。だがその時、俺の後ろから声をかけられた。


「元は父親だったものにそれはひどいな。そのナイフを下ろせ。」


「なっ⁉」


俺が急いで後ろを振り向くとアクモがその男に捕まっていた。その男にも黒い翼が生えていた。だが俺の目の前にいた化け物とは違って人の形をしていて、翼も比べ物にならないほど立派だった。俺はその男が放つオーラに少し怯えてしまったがすぐにアクモが捕まっている事を思い出した。


「アクモを返せ!化け物め‼」


俺は持っているナイフを今度は男に向けた。


「おいおい、よせよ。俺はお前の妹の命を握ってるんだぞ?ナイフ一本で勝てると思ったか?」


男は余裕な態度で言い放った。


「うあぁぁぁ!」


俺はがむしゃらに男にナイフを構えて突っ込んだが無駄だった。男はそれを避けアクルのナイフをはたき落とし、アクルを空いている手で捕まえた。


「クソっ、離せ!せめてアクモだけでも開放しろっ!」


「ハハハハ!捕まっているのに命令をするのか?面白い奴だ。だが俺がお前らをどうするかは価値を見て決めてやる。」


男はそう言い俺の目を覗き込んできた。俺は男の目を見てはいけないような気がして、目をそらした。だが男はすでに俺の目を確認していた。


「なるほど。お前は生かす価値があるな。だがこの女はないな。」


男はそう言い俺から手を離した。自由になった俺はアクモを助けるために男に飛びかかった。だが男に避けられてしまった。


「お前は父親とでも遊んでいろ。」


男は俺を化け物の方へと蹴り飛ばしアクモから手を離した。化け物が足を引きずりながら俺へとまとわりついてきた。そして男は俺から取ったナイフで自らの手を軽く切った。男は血が流れている手をそのままアクモへと伸ばした。これ以上男に好き勝手されたら駄目だと本能的に俺は感じまとわりついている化け物を後ろへ投げ飛ばし男へと殴りかかった。


「やめろぉぉぉぉ!」


だが無駄な行動だった。男は手から流れる血を気絶しているアクモへと垂らした。その瞬間アクモが低い声でうめき始めた。そしてアクモの背中から黒い翼が生えた。


「痛い痛いっ!あぁ!お兄ちゃん!助けて!痛い‼」


目が覚めたアクモは叫びながら体中の皮膚を掻きむしる。アクモの体はみるみるとやけどみたいにただれていき先程の化け物のようになってしまった。


「アクモっ‼」


叫んでから目の前で起きている事をやっと理解できた。なぜ男があの化け物を父親と言っていたのか。それは目の前のアクモみたいに父が化け物に変えられたからだ。父だけじゃない、村が静かなのは全部...


頭の中でそんな結論が出てき、俺は絶望を感じ床に膝を付き倒れ込んでしまった。


「おぉ。今頃気づいたか。まぁいい、そんな姿だろうとお前の家族だろう?仲良く遊ばないのか?」


男は笑うように俺に問いかける。俺がアクモだったものへと目を向ける。アクモはまだ苦しいようでうめいている。俺の後ろの父は俺の方へとまた向かってきている。


「来るなよ!こっちにくんなっ‼」


俺は父と分かっていても目の前の化け物を泣きながら拒絶してしまう。


「ハッハッハ!家族と言っても所詮そんなものか?見た目が変わっただけで拒絶する。これだからヒトは面白い!」


男が声高く笑っている。その声を背に俺は泣きながら父から一生懸命離れる。なんでこんな事に...

俺達は上手くやっていたよな?今日はたまたま喧嘩しちゃっただけだ。それだけでこんな事に...

俺は男の笑い声を聞きながら意識を失ってしまった。


俺が目を覚ました時、白い天井が上に見えた。

ここはどこだ?


「目が覚めたか?もう大丈夫だぞ。」


スキンヘッドの男が俺に話しかけてきた。


「ここは冒険者ギルドだ。君の名前はなんて言うんだ?」


「アクル...」


急な出来事に頭がまだ追いついていなくボソボソと返してしまった。


「アクル、もう化け物はいないから大丈夫だぞ。」


化け物?

その言葉を聞いた瞬間俺は化け物に変えられてしまったアクモと父の事を思い出した。

この人は今化け物はもういないって言ったのか?


「化け物はどうなったの?」


俺が最悪の事態を予想しおどおどしながらスキンヘッドに聞いた。


「あぁ。村の人達のことは残念だったがもう全部討伐されたぞ。」


その言葉を聞いた瞬間頭が真っ白になった。討伐?アクモや父、村の人達を?なんで?


「うわぁぁぁぁぁぁ‼」


俺は受け入れきれない現実を突きつけられ叫びながら外へ逃げた。


それから俺は成人するまで孤児院で育てられた。成人すると孤児院から虫を追い出すかのように追い出された。孤児院でも村の話は耳に聞こえた。あの村で謎の魔物が出現し村人は一名を抜いて全員死亡。魔物たちは王国の騎士達に討伐されたと。誰もあの男の事や、その魔物が元は村人だったことも話さなかった。もしかしたらその事実は王国に揉み消されたのかもしれない。俺があの時、会った男は幼い頃に聞いた物語に出てきた”悪魔”にそっくりだった。”悪魔”はもはや物語でしか聞かないような強大な脅威だ。王国は”悪魔”の事を公表することで訪れる混乱を恐れ隠蔽したに違いない。


俺はそれから王国とあの”悪魔”への復讐だけを力の源とし冒険者になり、我ながら悪どい依頼の受けた方ばかりした。





「ぼーっとしているが大丈夫か?」


俺が昔のことを思い出していると目の前のサタンに話しかけられた。最初見た時、目の前のサタンがアクモたちの仇だと思ったがサタンんは違う。あの時見た悪魔は漆黒の翼が六枚あったがサタンは四枚しかない。それにあの時の悪魔よりもオーラが小さい。


「考え事だ。」


「だったらいい。お前は俺の計画のためには必要な存在だからな。」


サタンはあの時の悪魔のような笑みを浮かべそう答えた。

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