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自我が弱いのも問題だな

せっかく風呂で疲れがとれたのに寝心地が最悪な床で寝たせいで、疲れがどっと増えた。


「おはようナオト。ってあれ?なんで床で寝てるの?寝心地最悪だったでしょ?別に一緒にベッドね寝ても良かったのに。」


「それは流石にやめといたよ。確かに寝心地は最悪だったけど。それで今日は依頼を受ける?」


「そうする。二人もいるんだし高めの難易度の依頼を受けようよ。」


「でも前のオークの件もあるし...アカネがそう言うならいっか。」


俺はとても流されやすかった。俺たちは部屋からでて後払いする宿泊料金を払いに行った。

案の定お姉さんはニコニコしていた。


「お二人共疲れはとれましたか?あらっ。あなた疲れた顔をしてますね。大丈夫ですか?あっなるほど〜。ああ言っていたけど昨日はお二人でお楽しみでしたんですね〜。それで彼女さんは肉食系でガツガツとせめ...」


「だから違いますって‼何回この下りやるんですか⁉俺が疲れているのは固く冷たい寝心地が最悪な床で寝たからです!」


そう言ってもなお、お姉さんはまだ顔をニヤつかせていた。アカネも顔を真っ赤にしてうつむいてしまっているので説得力がまるでなかった。アカネもそこは否定してよ⁉


「わかります。そういうお年頃ですから恥ずかしいんですよね。大丈夫ですって。お二人くらいの年齢だったらみんなバンバンやってま...」


「それで宿泊料はいくらなんですか?」


俺はお姉さんの話を聞くのをやめた。早くここから離れたい。さっきから周りの人たちの視線も痛い。


「わかりました。そこまで秘密にしたいんですね。宿泊料はお二人で銀貨10枚です。」


「一人部屋よりもはるかに高くないですか?」


「それはあの部屋が特別な部屋だったですからね。部屋にあった道具は何か使いましたか?気に入ったものがありましたらお売りしますよ?」


「銀貨10枚ですね。はいどうぞ。ではさようなら。」


俺はお姉さんの話を全部聞き終わる前にお金を払い、真っ赤な顔のアカネの手を引き宿から出ていった。

あのお姉さんが受付をしている時は高くても別の宿に泊まろう。そう心に刻み込んだのだった。


ギルドに入るとスアットさんが受付でダウンしていた。

なんで?


「スアットさんどうしたんですか?」


「おぉ兄ちゃん。オークの依頼の事覚えているか?」


あっ。すっかり忘れてた。結局オーク肉を渡せていないし、あの人が依頼主だから多額の違約金をとられそうだな。


「やっぱり依頼は失敗扱いですよね?」


「いや、それが依頼主が警備隊に捕まったんだ。だから依頼はそもそもなかったことになったんだ。あんなにまでなったのにすまねえな。」


こっちはすまないというか違約金を払わなくてすんだからいいんだけど。


「俺は大丈夫ですけどなんで依頼主は捕まったんですか?」


あの顔だし悪い事の一つや二つはやってそうだったけれど。


「それが依頼主がやっているお店はオーク肉が不足していたんだ。それでオーク肉を使った料理があの店のメイン料理だったもんでな、依頼主は収入が減ることを恐れてゴブリンの肉をオーク肉として使っていたんだ。もちろんゴブリン肉は元から食べれるような味じゃないから味に異変を感じた客の内の一部が味がおかしいと依頼主に訴えたんだが、ひどいことに依頼主はそいつらを全員監禁してしまったんだ。それで監禁された客の家族が警備隊に通報したことで悪事がバレ捕まったってことだ。」


うわ、やっぱり結構あくどいことやってるじゃん。

流石の俺でも庇いようがないくらいの悪事っぷり。


「なるほど。ひどいもんですね。」


「あぁ依頼主はそれで打首になったらしい。」


えっ?打首?言っちゃ悪いけど監禁とかまだ小さい罪じゃない?

この世界ってめっちゃ法律厳しいな。俺も気をつけよ。


「それで兄ちゃんたちは依頼を受けたいのか?」


「そうです。俺たちにちょうどいい依頼は何かないですか?」


「ないな。」


スアットさんは真顔でそういった。


「本当にないんですか?何も?」


「あぁ。なにもない。」


いやないと俺たちの収入がゼロに。それは絶対に回避したい事態だ。

でも俺たちが受けるのにちょうどいい依頼が何もないというのもおかしい。


「なんでなんですか?最低でも一個ぐらいはあると思うんですけど。」


「それがな、兄ちゃんが戦ったっていうオークは魔法が効かなかったんだろ?」


そうだ。相当な威力の火魔法を放っても効き目がまるでなかった。あの時は死を覚悟したなぁ。

俺はその時の恐怖も忘れ、呑気な事を考えていた。


「そうですけど。」


「それを聞いたギルドマスターが慌てて上に報告しに言ったんだ。するとそのオーク達は強化個体の可能性があると上からの通達がきたんだ。それで今はそのオーク達を今すぐにでも討伐するための隊が組まれていて普通の依頼が受けれなくなったんだ。そんな依頼を受ける暇があれば命をかけてでも危険なオーク達を倒しにいけっていうことだな。上も結構無茶をいうもんだよなぁ。」


話を聞き俺はとても嫌な予感がした。俺は恐る恐るスアットさんに聞いた。


「それってつまり俺たちも?」


「もちろんそうだぞ。何より兄ちゃんは唯一強化個体のオーク出会った冒険者だからな。兄ちゃんは絶対に行かないと駄目だろう。」


俺はその危険なオークに殺されかけたんだけどな。死にかけてた人の扱いが雑すぎない?


「ナオト、今回は私がいるから大丈夫だよ。私が絶対にナオトを危険な目にあわせないから。」


何このイケメン。安心感が違うんですけど。

じゃない、そうだ。今回はアカネがいるんだ。前のようにはいかない。

俺を危機に陥れたオーク達への逆襲のチャンスだ。俺が覚えてる限りオークはあと4頭いた。

だが防御力はそんなになかったはずだ。ただ俺が使える有効な攻撃手段が素手と拳に魔法をまとわせた攻撃しかないことが問題だ。必然的に近接戦闘になってしまいオークから攻撃を受けやすくなってしまう。

アカネはリーチが長い槍を使うので大丈夫だろう。

そういえばアカネが俺は治癒魔法が使えるって言っていたけどあれって本当なのかな?


「アカネさ、前に俺は治癒魔法が使えるって言ってたよね。あれって本当なの?」


「そうだよ。治癒魔法は私よりも才能があるよ。だけどナオトは治癒魔法しか使えないみたいだけど。」


「そこは大丈夫だよ。このガントレットのおかげで他の魔法も使えるようになってるから。」


俺がバッグからガントレットを取り出して見せてみると、アカネはそれを一瞬で俺の手から奪った。


「えっ、アカネ?」


「これすごい!これもデモンさんが造ったの?」


「そうだけど...」


「普通武器単体で魔法が使えるようにはならないのにそれを可能にするアイデア‼強い魔物の魔石を中心に武器を構成することによって耐久力と攻撃力の両立にも実現している技術力!デモンさん思ったよりすごい人だね!」


アカネがとても興奮している。そんなに武器を見るのが楽しいのかな?俺には言っていることが理解できないけど。


「あの分かったからそれ返してくれませんか?」


「あっごめん。ありがとう。」


アカネは自分がしていることに気がついたのかすぐに返してくれた。


「お二人で仲良くしている所悪いんだがオークの緊急討伐の事について話していいか?」


スアットさんがそう話してきた。すっかり忘れてた。

俺も話が無視されて勝手に盛り上がられる悲しさは理解できる。


「すみません。話してください。」


「オークの緊急討伐は明日結構される予定だ。明日の朝までにオークがいる森の前まで集まれば良いらしい。兄ちゃんは多分オークのことについて詳しく聞かれると思うが付き合ってくれ。」


そして俺たちは明日の緊急討伐に向けて休息をとることにした。

昨日泊まった憩いの泉にまた泊まることにした。

もちろん昨日のお姉さんが受付にいないこともしっかり確認した。

憩いの泉に入る時アカネがまた顔を赤くさせていたが、今回は二人別々の部屋に泊まった。

二人分の鍵を受付の人から渡された時アカネがホッとしていた。

そんなに俺と相部屋が嫌だったのだろうか。悲しい。


俺は暖かく柔らかいベッドに入り休息をとった。

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