【短編】双子出品
目を細めて見れば20代後半に見えなくもない夫婦がいた。
この夫婦の住んでいる家はお世辞にも大きいとは言えない。
にも関わらず、二人とも整理整頓が苦手なせいで部屋が
散らかっていた。
2ヶ月後くらいには双子が産まれる予定なので、
このままではまずいと思い、部屋の片付けをし始めた。
「片付けをやろうとは言ったものの、
どういう風にすればいいのか全く分からないわ。」
「今調べているんだが、どうやら断捨離という方法が
良いらしい。
「私も聞いたことがあるわ。早速その方法を試しましょう。」
こうして夫婦は断捨離をし始めた。
使えなくなった粗大ゴミなどは捨て、
被ってしまった景品などは出品した。
「出品はとても便利ね。元値よりも高い値段で
買ってくれる人もいるし。被っちゃった景品とか
絶対置いておく必要ないしね笑」
「そうだな。この調子でどんどん断捨離していこう。」
こうして双子が産まれるまでの間に、一人で居ると虚無感に
襲われるくらいまでに部屋の中のものを手放すことが出来た。
そして、ついに双子が産まれた。
「やはり我が子はかわいいな。
しかし、あまりにも似すぎていてどっちがどっちだか
分からなくなる時がある。」
「実は私もなのよ。なかなか見分けがつかなくて...
どうしようかしら。
これじゃあ、被ってしまった景品みたいじゃない。」
数日後、一枚の出生届を出しに夫婦は市役所に向かった。