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短編

僕には才能がない。

作者: ぼく。


才能。


僕にはこの2文字が圧倒的に欠けている気がする。


『才』という時には『生まれつき備わっている能力』という意味があり、『能』には『物事を成し遂げる力』という意味がある。


僕にはそのどちらも欠けている。

生まれも平凡、諦めが早く成し遂げる力なんてない。

結果をすぐに欲しがる。


僕には才能のパズルピースが一つ欠けているとかじゃない。


全く絵柄の想像が出来ないんだ。


そのくせ絵柄の想像できないパズルを完成させようと、つぎはぎだらけの無意味な図形を作り出してしまう。



君に稚拙な文章を読んでもらった時もそうだった。


僕は全く才能なんてなくって。


本当は読んでもらおうなんて思ってもいなかった。


ただ君のことを僕なりに描いてみたかっただけだ。


横から伸びた手を振り解く才能すら僕にはなかっただけのこと。


目を落とし、左から右へと流れる。


『君が赤い傘を差し、僕に差し伸べる。


白黒だった世界が君のおかげで極彩色に包まれる。


君の傘が赤じゃなくてビニール傘だったことなんてどうでもいい。


僕には赤に見えたのだから。』



君は僕の殴り書きを黙って読んだ。


普段漫画や映画を見ている時なんて文句を言ってばっかりのくせに。


キャラの設定とか文章のチープさに文句を言う君を幾度となく見てきている。


小説なんて君のタイプじゃないのに。


何でそんな真剣な顔して読むんだよ。


最後まで何も言わないなんてずるいじゃんか。


君は僕の文章が好きだと言った。


僕が書いた恥ずかしい文章を。


君はプロポーズを受けているかのように真剣に受け止めているんだ。


でも結局その言葉の向こう側なんて存在していない。


言葉が向けられたのは僕ではなく、0と1の表現でしかない。


君は0と1を読むことはできてもその向こう側の気持ちはよくわからないみたいだ。



僕の遠くあった青春の2文字。


真っ青な空に散る春の桜の花びら。


まだ空は広すぎて僕には揃えようがないけど。


君が差し伸べた手が桜のピースを揃えた。


結局その答えは揃わずぐしゃぐしゃに散らかされて終わってしまった。



子供のおもちゃのようにとっ散らかったまま。


結局俺が片付けなきゃいけない。


どれがどこにあったのかもわからない。


これが上なのか下なのか。


どれが左でどれが右なのか。


僕にはまだ一生わからないらしい。


でも一つだけわかったことがある。


空はどう埋めても結果は空。


順番なんてどうでもいい。


適当でもなんでもいい。


完成させるのは難しいが、壊すのは簡単だ。


無理なら諦め0から始めようか。


まだまだ次の1は遠いけれど。


0を1に変えるには足すしかなくて。

かけても割っても引いても0から一歩踏み出すだけじゃ1にはならない。


でも1を2に変えるのはちょっとの努力でできる。


0を1に変えれる一歩があるなら1を2に99を100になんて簡単にできるはずだ。


僕には才能がない。


『生まれつき備わっている力』なんてない。


でも。


『物事を成し遂げる力』ならなんとかなる気がする。


君が僕の0を1に変えてくれたから。


努力で『才』はどうにもできなくても。


『能』の字のピースぐらいは完成させれるといいな。













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