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偏愛

作者: そら豆

お久しぶりです。作者のそら豆です。作者を名乗るのがおこがましいような作品しか書けていませんが。今回、久しぶりに作品を投稿したのは大きく二点、一点目は今まで投稿していた期間はニート中でしたが最近フリーターになり、お金を稼ぎながらでも投稿が出来るようになる(物語を作れる)能力がほしくなり頑張ってみました。二点目は・・後書きで話します。



「先輩、今日も暗い顔してますね」

「なんで君はいつも平気で先輩の教室に入ってこられるのかな?」

「慣れじゃないですか」

「慣れるほどくるな」

「まあまあ、このやり取りも何回目か分からないくらいきてますし」

「そうだね・・なんかもういいや」

「先輩の諦めの早いとこ、僕は結構好きですよ」


この学校で唯一自分と友人でいてくれる1個下の後輩、齋籐虎緒太サイトウコオタというちょっと変わった名だがそれ以外はいたって普通な感性を持つ男だ。能力値も全てが平均的で上位で表彰されることも下位で注意されることもない。ただ、顔だけがやたらいいのが腹立つ!

「最近の学校生活はどうですか?」

「ん?めちゃ平和だけど?」

「またまた~!散々虐められてた先輩ならまだまだそれ系のエピソードいっぱい持ってるでしょ?」

「まあ、あるけど・・」

「僕は人の不幸な話が3度の飯より好きなので是非聞かせてください」

「3大欲求の一つより欲するなよ・・・」

現役中学生の僕の仇名は復讐鬼だ。僕が幼稚園生の頃から周囲で不幸な事故がよく起きる。それも、僕を馬鹿にしたり怪我をさせた人間が必ずターゲットになるのでいつの間にかそう呼ばれるようになってしまった。まあ、実際に僕は馬鹿ではあるんだけど、何故他人を馬鹿にすることがノーリスクだと思っている人間はこの世に一定数存在するのだろうか?昨今はSNSなどが流行して、○○さんにこんなことを言われましたと書くだけで言った方の人生を破滅に導くことだってできるかもしれないのに・・。やられた相手の顔写真付きにして発言から火が付けば、現在の住まいの住所や出身校、職場などあらゆる個人情報を勝手に調べて晒してくれるというのに・・等と物騒なことを考えているけど、僕は復讐とやらをこの手で実行したことは一度もない。

何故か僕が何もせずとも勝手に向こうが死んでいるだけなのにこんな物騒な仇名が付いてしまったし、僕に対して何かしらの侮辱であったり暴力行為を行った連中は全く話しかけてこなくなった・・。まあ、そんな人間がクラスどころか同じ学年中にうじゃうじゃいるので、つまりは9割9分の人間が話かけてこなくなったわけだけれども。まあ、そのおかげで平和な学校生活が送れているけれど・・代わりに今でも話しかけてくれる貴重な友人が奇人変人扱いされないかが心配ではある。


この、人として大丈夫かという発言を連発しているのが唯一の友人というのもどうかと思うが、自分の周りで不幸な出来事が起こるようになってしまってから話しかけてくるのがコイツだけになってしまってるからしょうがない。

放課後を待って二人で帰りながら最近の学校生活を語る。今までにも丸めた消しゴムのカスを頭に乗せられる、外履きを隠される等のしんどい体験を伝えてきたが、今回はクラスの女子から冷たい視線を向けられ、隣の席の女子が机がくっついてると物凄く嫌そうな顔して離すという最近の話をした。

「その手のエピソード豊富ですね先輩。流石ですよ」

「褒められてもなんも嬉しくないんだけど」

「だって、幼稚園の時も小学生の時にも似たようなこと言ってましたよ」

「暗くて不細工な男なんて女子から見たらゴミ以下の存在なんだろうよ」

「先輩の魅力が分からない連中なんてほっとけばいいですよ」

「それ言うの君だけだから」

何故かこの後輩は昔から僕によく懐いてくれてる。幼稚園の頃からの腐れ縁でお互いの家もよく行き来してるし親とも顔見知りな感じだ。とはいえ、同い年の方が話も合うだろうと思うのだけれど何故か彼はほとんどの空き時間を僕と過ごそうとする稀有な子だ。

「しかし先輩、幼稚園の頃から虐めに合ってるのにメンタル豆腐ですよね?」

「虐めに慣れる精神状態って自殺1歩手前じゃない?」

「確かに」

世の中に、他人の心を痛めつけて楽しむ人種が多すぎるんだよなあ・・。絶対的弱者を痛めつけて優越感などに浸る気持ちは正直理解できてしまう。草花を毟ったり蟻を踏みつぶしたりするのがそれにあたると思うし自分が幼い頃は実際そういうことをやってた。けど、人間相手にやったことはないかなあ、自分で言うのもなんだけど大人しくて弱気な性格なので、クラスの陽キャ的な奴に目を付けられていじられ、ガキ大将的な奴に暴力を振るわれても逆らうことが出来ずにどんどん発展していって今に至る。

何故か僕を虐める奴らは不幸な事故で死んでいくので、生きやすいとまでは言わないけど不幸と幸福のバイオリズムがつり合いとれてるなあとは思う。できればこのまま、誰かを虐めるような奴らに死が訪れるような世界であって欲しい。虐めをしていた連中が普通に生きて幸せな生活をしていたら、僕は10年後20年後まで、死ぬまで連中の顔を思い浮かべながら呪詛を吐き続けるような自分になっていただろうから・・。


僕には好きな人がいる。1個上の幼馴染のその人が不幸であることが耐えられない。なのに僕の好きな人に世界が優しくしてくれない。優秀な家族に馬鹿にされコンプレックスを抱き、他人に怯えてしまう心の弱さに付け込まれ外の世界では虐めに合う。家の内も外も救いがない。だから僕がその人の癒しになりたいと思った。初めての仕返しは幼稚園の頃だった。幼馴染に聞くに堪えないような酷い言葉を浴びせかけてるのを見聞きして僕の中に何かが産まれた。その日の内にそいつをかくれんぼに誘って予め掘っておいた落とし穴に落とした。そして見つからない振りをして放置してそのまま帰った。翌日には見つかっていたけど、自分の大切な人に嫌な思いをさせた存在を不幸にさせたことで僕はとても満足していた。それからは、幼馴染が嫌な思いをしてると思った度にその原因を作った奴を不幸にさせてきた。小学生になってからは虐めが酷くなり、それに対して自分の仕返しもどんどんえげつない物になって行き、高学年になってからは殺してしまうことが何度もあった。しかし全く後悔はしなかった。自分の大事な人を虐めて心と記憶に一生消えない傷をつけたのだ。ならば一生を奪わないと寧ろ割が合わないではないだろうか?『目には目を、歯には歯を』というのがあるけれど、あれを正当防衛の言い訳として過剰防衛してる輩がとても多いけれど、本来は確か、目を潰されたなら仕返しは目を潰すだけに、歯を折られたなら相手の歯を折るだけにしなさいというような物だったと思う。だから僕は僕の愛した先輩に傷をつけた相手に傷をつける。一生消えない傷を。そして一生を奪う傷を。そうして僕は僕の愛した人の前で今日も嗤う


「先輩、今日も暗い顔してますね」



















さて、ここまで読んでくださりありがとうございます。改めまして作者のそら豆です。前書きで書いていた作品を久しぶりに投稿した理由の二点目ですが、それは『友人からテーマを頂いた事』です。


恥ずかしながら、まだ3・4本しかまともに書いていないのに自分の中で新しい作品のテーマが思い浮かばず、こんなご時世になる前に友人と酒を飲みながら相談したところ「後輩がサイコパスな話を書いてほしい」と言われ、色々考えた結果このような話が出来上がりました。結局虐めを使ってしまいましたが、『僕という存在と虐めは切っても切り離せない』(『』内を書いててとても嫌な気持ちになりました)物なのでこれからも使っていくと思います。そういえば、最近よく聴いてた曲がシャルルとハッピーエンドだったので始まりと終わりが同じ言葉になるような小説が書きたいと思いついた事を付け加えておきます。


最後まで読んで頂きありがとうございました。


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