初期地点は魔王城です
初投稿です。毎日なるべく書いて文字数増やせるよう頑張ります
「フハハハハハハ! よくぞ来た勇者よ!」
なーんて、魔王のようなセリフを誰もいない広間で叫んでいる男子高校生が一人……俺だ。
もしここが街の中にある公園などだったなら、ひどく滑稽に映っただろう。
しかし、中二病患者が叫びそうなそのセリフは不思議なことに、ひどくこの空間にマッチしていた。
俺の後ろには、禍々しさを凝縮したようなあまり座りたくない王座があり、左右には翼が片方しか無い悪魔の石像が鎮座していて、上を見上げれば紫の炎が怪しく光るシャンデリアが吊るされていた。
この部屋を見た俺は瞬時に王座に移動し先のセリフを叫んでいた。
「まさか四天王をすべて倒し、この魔王城へ辿り着くとは恐れ入った!」
なんか違うな、もうちょっと悪く見えるように出来ないかな?とりあえず形から入ってみよう。
制服をマントのように羽織ってみたり。
手のひらをかっこよく顔にあててみたり。
足を少し大袈裟に組んでみたり。
「ククク……まさか我が四天王を薙ぎ払い、魔王城にある数々のトラップをくぐり抜け我が下に辿り着くとは、見事だ!」
よしっ!なかなかいいぞ、四天王が倒されようが自分の下に辿り着かれようが、絶対に負けないという自信を持ちながら相手を称賛するスタイル、まさに魔王。
次は勇者の聖剣を初めて見た魔王の感想を言ってみるか。
「ふんっ! それが我を倒すために作られたという聖剣か、素晴らしい装飾がなされているようだがそのような脆い剣では、我にかすり傷ひとつ付けられまい」
お前の聖剣は見た目だけで中身が無いなと、少し遠回りに告げて煽る魔王のようだぜ。
いやぁ、まさか異世界転移の初期地点が魔王城だった時は絶望したけど、こうやって楽しむ余裕も出てきたし、そろそろ出るか。
最後に一番好きなセリフをもう一回言っとくか、そんな事を考えて、王座から立ち上がり大きく息を吸い込んだその瞬間__
「魔王! 貴様を倒しに来た!」
「フハハハハハハ! よくぞ来た勇者よ!」
作家力がついたらもう一回書きたい、今度は連載で。