↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/14

天王山

昇吾が所属するチーム名を以下のように決めました。

・ブルースターズ


それにともない、過去話も一部修正しています。

 夢を見た。

 遥か昔の夢だ。

 自分はピッチに立っていて、周りに日本人は自分だけ。その試合はチームの優勝がかかった大一番だった。


「頼む! ***」


 それは誰のことだろう?

 いや、考えるまでもない。自分のことだ。

 意識ははっきりしないが、大舞台に胸が高鳴る。やっぱりこういう世界の頂点をかける勝負がしたい。

 ボールを受ける瞬間、ゴールまでの明確なビジョンが頭に浮かぶ。そう、この感覚だ。


 ずっと忘れていたが、これこそ『自分』が天才と呼ばれるゆえんだった。もはや未来視ともいえるチート技。

 圧倒的な技術と視野の広さのおかげで成せる技だ。


 もっと世界と戦いたい。熱い戦いをしたい。

 けど、もうその願いは叶わない。『俺』はあのとき死んだのだから。



 ********



 リーグ戦も残り二試合。

 エースロベルトの離脱後も、なんとかチーム全体でエースの穴を埋め、ブルースターズは優勝戦線に踏みとどまっていた。

 そしてこの日の相手は現在首位を走るマリンズで事実上の天王山である。しかもブルースターズが優勝するには残り二試合とも勝利しかなく、まさに崖っぷち。

 負けられない一戦とあって、スタメンはロベルトを除き、いつものメンバーだった。


「パパ頑張れー!」


 今日はアウェイなのでもちろん声は届かないテレビ観戦だが、それでも雅は必死に応援する。そんな雅を見守りながら、珍しくサッカーには興味がない緑も祈るように画面を見ていた。



 ********



 日本中の注目を集めるなか、頂上決戦の幕が上がった。

 開始早々、ゲームを支配したのはマリンズの方だった。

 マリンズはスタメンの約半分にあたる六人が日本代表経験があるスター軍団である。加えてフォワードには元セレソンの最強助っ人までいるのだから戦力差は明らかだった。※セレソンとはブラジル代表の愛称

 そんなスター軍団の攻めを紙一重でかわしながら、なんとかゴールを守り続ける。

 しかし、ひたすら守るにも限界がある。

 前半30分、ついに元セレソンのスターによる個人技で先制を許す。さらに前半終了間際にはセットプレーから二失点し、なんと前半だけで0対3という決定的な差がついてしまった。


「っ……」


 ロッカールームの空気は重く、皆うつむき加減だった。何もできなかった歯がゆさやら、優勝が厳しくなった悔しさやらが各々の心をうずまく。

 ただ一人を除いて。


「おいおい! もうギブアップか?」


 静まり返るロッカールームで声を響かせたのは昇吾だった。


「負けを認めるのか? こんなに苦労して積み上げてきた勝ち点をお前らは簡単に捨てれんのか? 俺はやだね。また一からってめんどいし」


 そんな言い回しに部屋に笑いが漏れ、少しだけ明るさを取り戻す。


「三点がなんだ? 相手にとれたなら俺たちだってできるだろ?」


「簡単に言っちゃってくれますね」


「でも、不可能じゃない。それに燃えるだろ?」


 続けて昇吾は監督の元へも向かう。


「監督、俺はいつでも行けますよ」


 以前話したもしものとき。昇吾は今こそそのときだと感じていた。

 監督は何も言わないが、その表情は苦悩に満ちている。


「もうこの試合落としたら優勝もないんですよ! 俺ならやれます! 必ずこの試合ひっくり返します!」


 他の選手にはなんのことかさっぱりの話で、監督と昇吾の間に存在する秘策。ぶっつけ本番にはなるものの、監督もここが勝負どころということは重々承知していた。


「……ったく、どうやらもう手遅れみたいだな。頭イカれてやがる」


「もともと俺は『死人』ですからね」


「本当に大丈夫なんだな?」


「問題ないですよ。それにまだ次の試合もあるのにこんなところでくたばってらんないですよ」


 昇吾の覚悟を感じとり、監督もようやく決断を下す。


「よし! 後半の作戦を伝える!」



 ********



 後半開始直前、スタジアムが騒然となった。


「お、おい! なんで一色があんなところに!?」


「この点差で気でも狂ったのか?」


 やいやいとスタンドからヤジやら驚きの声が飛び交う。

 そんな状況にあっても昇吾は冷静だった。


「……大丈夫だ。俺はやれる」



 ********



「どうして……」


「ママ?」


 テレビ画面を見て顔面蒼白となる緑を雅が心配そうに見つめる。

 普段なら心配かけまいとすぐに振る舞いをただすところだが、今の緑には取り繕う余裕すらなかった。


「ママ、大丈夫」


「みーちゃん?」


 雅にぎゅっと手を握られてようやく緑は戻ってきた。


「パパはすごいんだから」


「……そうね」


 緑はなんとかいつも通りを装えるようにはなったが、心中穏やかではない。

 そんな心境を察してか、雅が緑の手を話すことはなかった。


 そして、サッカー史に残ることとなる運命の後半が始まる。

投稿ずいぶん空けてしまいました……。

執筆って始めるまでに気力が必要で、毎日投稿している人は凄いなーと思いました(小並感)


言い訳はこのくらいにしておきます。

とりあえず投稿は続けるつもりですので、適当に今後も読んでくださると嬉しいなーと(ちら


では、またいつの日か投稿するときまで!(なるはやにします)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ゆっくりでも大丈夫です 更新楽しみにしています
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。