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それからの毎日正にとって最高の日々だった。
正自身もこれが青春なのかと実感できるほど充実していた。それは、部活を頑張るからとかではなくたいはんが桜井あおいと会話できる仲になったからである。
朝会ったら『おはよう』
帰りに『バイバイ』
この会話が片思いの少年にはどれだけハッピーなコトかは言うまでもなかった。
ある日、部活終わりに先輩からこんなことを言われた。
『あぁー最近練習きついしー誰かかわいいマネージャーでも勧誘してこいよー!!』
正はそれを聞いた瞬間これしかない!そう思った。
次の日の朝さっそく声をかけようとその日の晩は作戦会議をした。
作戦会議といっても自分の部屋で一人考え込むだけだ。
『もし断られたらどうしよう…』
『明日あいさつしなかったら…』
『明日休んでたら…』
あることないこと頭の中で想像した。
そんなコトをしている間に窓の外は太陽の光を受け明るく輝きだしていた。
正はいつもより早く家をでて運命の瞬間に備えた。
ドンッ!!
学校の正門前で正は背中を誰かにたたかれた。急の出来事で道ばたでこけそうになった。
そんなコトをした犯人の顔を見ようと顔を上げると
桜井あおいだった。
『よっ!!おはよう』
いつものように話しかけてきた。正はこの会話をいつもなら楽しみにしているのだが今日はまだ心の準備ができておらず焦っていた。
『さッ桜井はさぁ…サッカーとか興味なぃ??』
頭より先に口がかってに動き出していた。
『うーん…サッカー??あんまり体動かすの得意じゃないしなぁー…どうしたの??』
この返事を聞いて正の頭は
『もうだめだ…あきらめよう』と考えていた。
しかし口は頭より先に動いていた。
『いやぁー今マネージャー探しててさぁ桜井やってくんねぇかなって』
頭で理解したときには後悔しか残らなかった。
『うーん…マネージャー??いいよ別に暇だし』
正にとって意外な言葉であり信じられないが頭の中の後悔だけは消え去っていることがわかった。