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ガラガラ
『ただいまー』
玄関から聞き覚えのある声が聞こえた。
『あっ母さん帰ってきたんちゃんで?行ってきてみい』
おばあちゃんにそそのかされ正が走って玄関にむかった。
『母さん遅いって!!いつまで帰ってこんのやぁ!!』
正が走りながら母さんにあいさつがてらに大声を出した。
『ごめんごめん。予想以上に診断がながぁなってなぁ。ごめんなぁ。あれれぇおばあちゃん晩御飯の準備してくれよん?ごめんなさいねぇ』
帰ってきたばかりで休む暇もなくせわしく晩御飯の準備に取りかかり始めた。
正は、その様子がいつもの母さんではないような気がした。
晩御飯の準備に忙しい二人に正が今までひとりで留守番していたうっぷんをはらすかの勢いで話し始めた。
『母さんなぁ今日なぁ守と一緒にサッカーしよったんやけどなぁほんでなぁー…』
『正。今正の好きなもの晩御飯につくいよんやから静かに宿題でもしといて。』
といい、正の話をさっと流した。
正は不機嫌になりブツブツ言いながら祖母と母の晩御飯を作る様子を見て自分の部屋に走っていった。
部屋に入ってベッドに横になって母に言われたことをまだ気にしながらも今晩は好きなものだからと思い我慢した。でもいったいなにを作っているのだろう?自分の好きなもの?しかし母と祖母が作っている過程を見てまったく予想がつかなかった。
『正、ご飯出来たわよー一緒に食べましょう!』
母の声に瞬時に反応しリビングに走り出した。
しかしそこに並んでいたのは始めてみる食べ物ばかりだった。『母さん、僕の好きなものっていったじゃないか』
正が今までのうっぷんをはらすかのような声で言った。
『あら?正これは好きじゃなかったの?』
『初めて見るものばっかりだよ』
『そうだったかしら?』
と母は知らないふりをしていたが正を不安にさせる材料としては十分すぎるものだった。