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偽物  作者: アリス
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2000年8月


今月で10歳の誕生日を迎える少年がいた。


斎藤 正


正は、名前とは正反対なやんちゃぶりで有名だった。

趣味は、スポーツ。クラスでも一番足の速い少年だった。

勉強とはあまり相性のよくなかったがそろなりに勉強と仲良くなる努力はしてきたつもりだ。毎日毎日夜遅くまで友達とサッカーや野球、ドッヂボールなど体を動かしてばかりだった。


正が住んでいるのは全国的な知名度は低い場所である。

そんな街に唯一ある総合病院が今度新しく生まれ変わるという。ガガァーガガァー…工事は1年近くかかり新しく生まれ変わった。正は、その工事の様子を毎日のように彼らの遊び場から覗いていた。

『ぁあーもうそろそろ完成やなぁーばぁちゃんが楽しみにしとるわ。綺麗な病院の方がいい言うてなぁ』

正の何気ない意見に水を差すような声が聞こえる。

『はぁーだからどしたんや。病院やきれかろうと汚かろうと一緒やろ…』

声の持ち主は守。正のクラスメートであり大の仲良しである。父親がこの町の市長をしていて今回の病院の改築には大変な苦労があったようだ。『守んちはいろいろ大変やったみたいやなぁ。ほなけどまぁえぇやんか。なんでも新しい方がさ。』

正は守を励ますような言い方で声をかけた。

『まぁな…』


それから病院が完成したのはその3ヵ月後であった。

田舎町にできたら大きな新しい病院というだけあって連日病院は超満員だ。


その影響は、正の家にも及んでいた。

『ただいまー。』

正が学校帰り大きな声をだしながら家に入ってきた。

『あれー。母さん?ばあちゃん?どっかいったんかいな?』


台所のつくえの上に一枚の紙切れがあった。


正へ

お母さんとおばあちゃんは 新しくできた病院に行って きます。帰りは遅くはなら ないと思いますが待ってい てください。

お母さんより』


『なんや病院行ったんかいな。なんや悪いとこもないのになぁ…』


それから1時間がたっても2時間がたっても二人は帰ってこなかった。日も沈みかけてあたりがだんだん暗くなってきた。


ガラガラ


玄関の扉が開いた。


『ただいまー。』


正はその声を聞き急いで玄関に向かった。

『遅いわぁもう周り真っ暗やんかーあれッ?ばあちゃん、母さんは??』

玄関にいたのはおばあちゃんだけだった。


『ぁあお母さんはじき帰ってくるよ。診断が先終わったからおばあちゃんだけ帰ってきたんじゃ。さぁさぁお腹すいたじゃろうに晩御飯の準備せんかいね』といいおばあちゃんは足早に晩御飯の支度に取りかかった。


しかし正の母がかえってきたのはそれから何時間も後の事だった。

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