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渋谷少女A-イントロダクション  作者: 多谷昇太


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8/10

魂、心、現実

その辺りのことと、更に我々三人の関りを大天使が図らずも説明してくれた。「田中さん、魂と心と現実は三つで一つです。魂がA子、心がB子、現実があなたです。B子があなたを嫌っている。言葉ばかりで、自らの弱さや欲望などが本音と見える大人の世界、即ちあなたを嫌っているのです。その証拠にあなたは心の中で情けない自分を承服出来ず、格闘ばかりしているでしょう。B子が暴れているのです。親のA子に本懐を示せたのならB子にも出来ますね?B子の不信を晴らしてやって下さい」と云われ続けて、「暁は未だ遠きかな。汝との邂逅はもはや今生あらざらん。そなた田中茂平はこの後生涯をかけて我への証しをせよ。A子を敬いB子を慈しめ。魔は滅びしにあらず、疾く戻り来む。田中茂平、いざ、汝が本懐を示せ!」と託宣された。何が起こったのか、次の瞬間大天使が掻き消え、足下のドームの遥か下方より強烈な我執と憎悪の波動が伝わって来た。光をすべて飲み込むごとく大口を開け牙を剝いた魔王が猛烈な勢いで上へと昇ってくる。呪いと憎しみの雄叫びが堪えられないトーンと音量となって迫ってくる。思わず耳を両手で覆った次の瞬間、私は以前と変わらぬ場所に、即ち「去れ!」と威嚇する魔王の足元にいる自分を発見した。大天使との邂逅など一切なかったかのようだ。しかしA子がもとの美少女に戻って居B子が傍らに立っていることを見れば、強ち今しがたの邂逅が幻だったとは云えないようだ。我々の方が瞬時にドームを下って魔界に墜ちたのかも知れない。しかしだとすれば四の五の云っておれない、自分がどうなろうともA子とB子を魔王に奪わす訳には行かなかった。すると何処からこんな想念が来たものやら次の瞬間私は魔王に向かってこう叫んでいた。「魔王!巨大な身体で人間を踏み潰すのは簡単だろう。しかし心と心の戦いではどうだ?俺の心に入って戦えるか?それともゴミが恐いか!?」と。

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