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二十話 妖精の道標2

苔の生えた倒れた木の上を滑ら

ないように慎重に進んでいたら、

後ろからレビィさんの急かす声に

びっくりし、そのまま足を滑ら

せ股を強打した。

まあ玉二つはもうとっくに無いので

そこまで痛く無かった。

生殖器が無いことも意外と便利…。

とくだらない事を考えていたら、

自分が今木の上から飛び降りるとこ

だと思いだした。

死ぬのかもしれない…。



「…ほんとにここから飛び降りるん

ですか?」



「大丈夫ですよ。下は植物の綿を

集めたフカフカのマットになって

いますから、心配しないで飛んで

ください。」



と言われたが、とてもじゃないが

踏み出すことができない。

マルナさんの後を追いかけ続け、

俺はいつの間にか倒れた木から

天にまで伸びてそうな高い木の

一本の枝の上にいた。そして、

彼女はここが近道だから飛べと

言うのだった。



「マルナさん…他に道とか」



「いつまで駄々をこねてるのよ。

後が詰まってんだから早く飛びな

さい!」



「そ、それならレビィさんから

飛べばいいじゃないですか!」



「い、嫌よ! 絶対に!」



珍しく零次はレビィに反発する。

それだけ零次は高いところが苦手な

のだ。

しかし、レビィも決して飛ぼうと

しない。



「わ、わかりました。私が先に

行きますので二人は、一人ずつ私が合図

したら飛び降りてください。」



そう言ってマルナは慣れたように

飛び降りた。



「二人共ー! いいですよー!」



少ししてマルナの合図がかかる。



「どっちから行きますか?」



「あんたが先に行きなさいよ。

私は絶対に後がいいわ。」



「ならここはジャンケンで

決めましょうよ。」



「何よ、そのじゃけん? って。」



零次こと細かくジャンケンの

ルールを教えた。


「先に五勝した方の勝ちで、あと

操作魔法は反則なので

使わないでください。」



「はぁ…わかったわよ。その代わり

あんたそこまで私に言ったんだから

もし負けたら、おとなしく飛び降り

なさいよ。それと、決して私が飛び降り

るのを見ないこと! いいわね?」



二人はマルナが聞こえてますかー?

と、呼ぶ声に気づかず互いに約束を

交わしながらジャンケンをした。


『最初はグゥー、ジャンケンっ!』



二人の声は森の中でこだました。



負けた。0勝5敗、完敗だった。



零次は自分の運の無さを嘆き、

神に祈るようなポーズでそのまま

落ちて行った。



「あああああぁぁぁ!」



スポンッ!

零次はまるでプールのような綿の中に

落ちた。体がまるまる綿の中に沈む。



「ぷはっ! あー、…死ぬかと思った。」



無事に着地できた事を喜びながら

綿の中から出る。

マルナさんがそれを確認すると

再びレビィさんに合図を送った。

それと同時に俺はマントが綿の中で

脱げてしまっていることに気づき、

レビィさんと交わした見るなという

約束をも忘れ一瞬振り向いてしまった。


上空から彼女は普段の声からは想像も

できない高い悲鳴を出し、目には涙を

浮かべながら落下していた。

そして、その時俺はレビィさんと

目が合ってしまった。






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