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十六話 漂着

ボートで漂流したのは一日といったとこ

ろだった。夜明けとともに薄っすらと

大陸が確認できるようになった。



「レビィさん、見えました。本当に

カーマ大陸に着きましたよ。」



零次はすぐさまレビィを起こす。



「…え? 姫魚の串焼きは?」



また訳の分からぬ言葉を呟くレビィを

零次は慣れたように軽く、そんなのあり

ませんよと受け流す。

それを聞いてレビィは顔を少し赤くす

る。

このやり取りも、もはや二度三度の事で

はないのだろう。

海に揺られながら長時間漂流していたせ

いか全く揺れぬ大陸の上に二人は足を踏

み出すと少し違和感を感じながら、一歩

一歩歩いて行くのだった。



「それでこれからどこに向かうんです

か?」



「そうね、とりあえず現在地を確実に

把握するために村を見つけようかしら。

でも村を見つけるのが大変なのよね…。」



「どうしてです?」 



「そんなの、村が地図には記されて無い

からよ。壁で守られてない小さな集落な

んてモンスターに狙われて消えたりする

ところもあるから、いちいちそういうの

は地図には載せないの。」



「それじゃあこの辺りに村があるかどう

かも分からないですね…。あっそうだ!」



そう言っておもむろに自分のリュックに

手を入れる。



「はい、これ。朝ごはんというかワンブ

に着いてから何も口にしてませんよね?

どうぞ食べてください。」



零次はリュックから果実二個取り出し、

その一つをレビィにわたす。



「あんた、こんなのどこで…。」



「ワンブで図書館に寄る前に買っといた

んです。街の人に聞いたら、旅の食料な

らこの長持ちするポルポの実がいいっ

て。」



「そう…。」



零次の準備の良さにレビィは驚きを隠せ

ないでいる。



「…あ、あり、あり、が…………。もういい

わ!」



お礼を必死に口から出そうとするが自分

のプライドによってそれがなかなか出て

こないでいるレビィの方を、微笑みなが

ら見ている零次にレビィは目を合わせる

事ができず、そっぽを向く。



そして二人は先の分からぬ道を進みなが

らムシャムシャと乾いた喉と、空腹に耐

えきれず音を出す腹にポルポの実を入れ

て行くのだった。


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