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悪の組織、はじめました  作者: enforcer
凶悪!! 惑星滅菌計画!!
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凶悪!! 惑星滅菌計画!! その2

 

 地球の何処かへ、隕石が落ちる。

 それは、例え近場の事でなくとも話題には上がるだろう。


 事実、良もそんなニュースをスマートフォンで眺めていた。

 場所を医務室から首領専用部屋へと移り、ソファへ寝そべりながら。


「はぇ~、隕石が落ちたってか?」

 

 良の目に入るのは【ロシア近郊の森林に、隕石落下か!?】という見出し。

 とは言え、その事件に関しては難しい事は書かれては居ない。


 寧ろ、そんな爆発から飼い主を守った愛犬の方が大きく取り立たされている。 


【愛犬、隕石落下事故から飼い主の子供を守る!】と。

 

 見出しと共に紹介されているのは、幼い子供と愛犬の写真。

 良にしても、隕石云々よりも其方へ目が向いてしまう。

 

 そんなニュースに目を奪われる良だが、単に暇潰しをしている訳でもない。

 今のところ、身体の修復は終わって居るが、基本的には【絶対安静】の身である。

 改造されているが故に、余裕に見えて居るだけなのだ。


「でも、そんなに隕石なんてコロコロ落ちるもんかね?」


 ポンと思い付いた疑問を良は呈す。 

 勿論、その声は返答を期待したモノではなく、単に口をついて出た独り言だ。


『隕石ならほぼ毎日落ちて来ているぞ?』


 急に独り言へと返ってくる返答。

 それに対して、良は「うぉ!?」と焦った。


「だ、誰だ!? 何処からだ!」

 

 バッとソファから飛び起き、部屋を見渡す。

 誰にも入室許可を出した覚えは無い。

 

 すわ誰かの襲撃かと身構える良。 

 大首領を一時的に撃退したとは言え、油断禁物であった。


『おーい、コッチだ、コッチ』


 まるで犬を呼び寄せる様な声だが、それは、良の手の中から響いている。

 恐る恐る、スマートフォンの画面を覗き込むと、其処には顔が映っていた。


「あんたか」


 未だに名を教えられては居ない以上【誰々さん】とは呼べない。

 そんな良の声に、画面に映る女は笑う。


『あぁ、私だ。 ともかく、君に話が在る』

「え? 俺? ははぁ、そらまぁ、良いっすけど」


 良がそう返事を返すと、女は頷いた。


『そうか、ではきっかり一時間後に其方へ参上しよう』

「電話じゃ駄目なんすか?」


 思い付いた素朴な疑問に、女は顔をしかめた。


『今君と話しているコレは通常回線だからな。 何処に眼があるかわからん。 だから、出来れば直接話したい』

 

 急な申し出ではあるが、女が恩人である事は良も知っていた。 

 既に何度も助けて貰っている。  

 で在れば、そんな恩人を邪険にしようとはしない。


「はは、じゃあ、組織総出でお迎えしましょっか?」


 ほんの冗談のつもりで良はそう尋ねるが、女は首を横へ振った。


『それは任せよう。 ただ、今回は在る意味、帰省だからな』

「はい? そらまた、どういう」


 女の言葉がわからない良は、その真意を尋ねようとした。

 が、画面上の女は人差し指を映すと、それを左右へと振る。


『そう女人の秘密を探るモノじゃないよ。 では』

「はいはい、じゃあお待ちしてま~す」


 軽い挨拶と共に、通話は切られる。

 が、良は暗くなった画面を見ながら首を傾げていた。

 

「わかんねぇ人だよな」


 理由の如何は知らないが、助けて貰える事は有り難い。

 下手に見栄を張らず、それを受け入れる事を決めていた。


   *


 女からの連絡が在った後から、数十分後の事である。 

 良は、組織の者達に大広間へ集まる様に頼んで置いた。


 結果として、動けない者を除けば、ほぼ基地の全員が揃っている。

 然も、それだけではない。

 この場には新たに組織へと加わった怪人や、魔法少女に改造人間迄もが顔を揃えた。


 以前よりも顔ぶれが増え、正に壮観である。


 そんな広間を見て、良の隣に陣取る虎女はフゥと息を吐いた。


「なんかさ、此処も手狭に成って来ちゃったね」


 率直な虎女の意見に、女幹部も頷く。

 前ならば、そう狭くは感じなかった。

 だが、人が増えただけでも、なんとなく賑やかに感じられる。

 

「そうだな。 前よりも人が増えたからか、些か狭くもある」


 基地の管理を任されている女幹部からすると、考えるべき事は多かった。

 そう唸る女幹部に、博士が目を向ける。


「だったら、皆で新しい基地へ移ればどうです?」


 博士の声に、アナスタシアは悩ましい息を吐いた。

 担当する部署が違う故に、博士は女幹部の苦労を知らない。


「簡単に云ってくれる。 個人のお引っ越しとは訳が違うんだぞ?」


 苦労性故か、アナスタシアはそう愚痴を吐いた。


 人が増えれば、当たり前だがそれだけ設備が必要に成ってくる

 如何に悪の組織とは言え、配下をぞんざいに扱って良い訳ではない。


 意外かも知れないが、基地の中は日光が不足している事を除けばかなり快適に工夫が為されていた。

 でなければ、長期の滞在など出来ないからである。


 組織の者が悩んで居たとしても、客には関係が無い。

 本来ならば、部外者である筈の川村愛だが、もはや彼女がその場に居ても誰もが当たり前という顔をしていた。


「ね! ちょっと!」学生だからか、パッと手を挙げる愛。


 そんな少女を、良が指差す。


「はい、川村さん」


 学校の教師の真似をする良に、少女は多少辟易しつつも、息を吸った。


「色々在るんでしょうけどね、なんで召集掛かったんですか?」

「え?」


 愛から問われた良は、顔を困らせた。

 何故皆を集めたかと問われれば、こっそりと会話という事を気が咎めたからである。

 

 端的に理由を述べるならば、コソコソするのが性に合わないからだ。 

 しかしながら、議題も決めずに召集掛けましたとは今更言い辛い。


 なかなか良の口が開かないからか、少女は腰に手を当てる。

 僅かに背を折り、睨む様な上目遣いを披露する。


「まぁさか、とりあえず集めた……なんて言い出しませんよね? みんな色々在るんですけど?」


 魔法少女の鋭い追求は、首領に直撃してしまう。

 事実はその通りなのだが、素直に【はい】とは言い難い。


 急に、良の目が忙しそうに泳ぎ出す。

 

 もはやこれまで。 

 良が土下座すら辞さない覚悟を決めるかどうかという時。


『まさか、ホントに組織総出のお迎えとはね』


 響く声に、場の全員が其方を向いた。

 現れたのは、一見すると妙齢の女性にも見えなくもない。  

 だが、纏う空気が少し違っていた。


 現れた女を知っている者も居れば、居ない者も居る。

 その中でも、大幹部二人が同時に反応していた。


「うん? いや、気のせいか」 


 アナスタシアは、見える女を良く知らない。

 が、その筈なのに、何故だか違和感を感じないのだ。

 

【其処にて当たり前】という錯覚すら覚えてしまう。


 同じく大幹部のカンナも、やはり首を傾げていた。


「変だなぁ、なんでだろ」


 敵味方の判断で在れば、虎の勘が冴える。

 が、この時の虎女の勘は【敵ではない】と云っていた。

 何故そうなのか、その理由を虎は知らない。


 大幹部二人が首を傾げる中でも、一人動じない幹部も居る。

 剣豪ソードマスターと称される壮年だけは、女をチラッと一別しただけであった。


 組織を知らぬ愛だけは、腕を組んでフンと鼻から息を吹いた。

 少女の内心を語るならば、これ以上恋敵ライバルは増えて欲しくはない。


「で、なんか用ですか?」


 組織に在籍している訳ではないが、ほぼ同格である少女の声、女は頷いた。


『皆が集まって居るなら、話は速い。 早速だが、在るモノを見て貰いたい』


 女はそう言うと、片手スッと挙げ指をパチンと打ち鳴らした。

 単なるスナップだけでは、何も起こらない筈である。


 が、まるで女に指示を出されたかの様に基地の機器は動き始めた。


 勝手に動き出す機械に、博士が慌てる。


「え? ど、どうして」


 機器を預かる立場の者からすれば、勝手に動くという事は想定外であった。

 慌てた博士は女を見るが、何かしたであろう張本人は微笑むのみ。


『気にするな高橋リサ。 ちょっとした魔法だよ』

 

 女の説明は不十分ではある。

 が、知人に魔法少女が居る博士にとってみれば、案外納得出来ない事もない。


 広間の天井から大型画面が降りてくる。

 ゴンと音を立てて止まったソレは、直ぐに明かりが入った。


 唐突に映し出されたのは、夜空に浮かぶ月である。


 そんな映像に、良はウーンと鼻を唸らせた。

 

「月……ですよね?」

『そうだ』

「いやぁ、そうだって云われても」

 

 いきなり月を見せられ、返答に困る良。

 そんな良を余所に、女は深刻そうな顔を浮かべていた。


『もう直ぐ見えるよ』


 その声に、場に居る誰もが画面に見入った。

 数秒後、誰の目にも変なモノが見えてくる。


 月の影から出て来たのは、丸い何かだった。

 正体不明のそれが出た所で、動画が止められる。


『いま、皆の目に見えているだろう。 コレが、問題だ』


 ポンとそう言われても、組織の面々は悩んでしまう。

 月の周りを何かが回っているのは分かるが、映像から見えるのはソレだけだ。


「月の周りをなんかが飛んでるってのはわかるけど……」

  

 いまいちピンと来ない良に、女は肩を竦めた。


『わからないか? あの飛んでいる何かは、ほんの数時間前に突如として現れたんだ。 まるで、何処かから飛んで来たみたいにな』


 説明されても、まだ良は鼻を唸らせる。


「えーと、でも、飛んでちゃ駄目なんすか?」


 案外鈍い良に、女の眉が寄った。


『今のところ、飛んでいるのが何なのかは分かっていない。 ただ、アレが隕石を降らせた、と言えばどうだ?』


 出来るだけ噛み砕いた説明に、良はようやく女が云わんとしている事を理解した。 

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