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悪の組織、はじめました  作者: enforcer
驚愕! 地球救済作戦!
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驚愕! 地球救済作戦! その20


 姦しさは忘れ、良は事態を鎮圧すべく更に走る。

 ようやく争乱の場へと着いたが、在ることに気付いた。


「おいー! なんなんだ、彼奴等は!?」


 良にとっては有り得ない光景であった。

 自分そっくりの誰かが、化け物達と戦っているのだ。


「わかりません、最初は良さんだとばかり想ってましたが……」


 博士の説明に、良は唸る。

 が、ふと在る言葉を思い出していた。


「コレが、露払いってか………」

「なんです?」

「え、いや、そんな事よりも、まだまだ化け物は居るみたいだ」


 良の言葉に間違いは無い。


 謎の軍団が如何に八面六臂の活躍をしていたとしても、実のところ効率は悪かった。

 そもそも誰かを庇いながらの戦闘は、著しい効率の劣化を極める。


 怯えて動けなく成ってしまった人。

 化け物に対して恐怖が薄れた人。

 とにかく戸惑い慌てる人。

  

 何をするにせよ、人々が枷になってしまう。

 サッサと避難してくれれば良いのだが、それが出来る様なら苦労はしない。


「じゃ、俺もそろそろ」


 そう言う良に、愛はフフンと鼻を鳴らす。


「そうそう、加勢しないとね」

「あたしは首領を手伝うだけ」


 愛と虎女も、いよいよ力を解き放とうとする。

 そんな中、博士は唇を噛んだ。

 

 自分にも何か出来る事はないのか、と。


 ふと辺りを見渡す博士の目が、コッソリと近付いていた化け物のソレと合った。

 緊急時の際、咄嗟に何か出来る者は多くはない。


 事実、博士は息すらも止まっていた。


 ああしなければこうしなければ、どうしたら、なにをすべきか。

 膨大な思考が頭に溢れ、それは行動を止めてしまう。

 

 そして、そんな獲物は、化け物にとっては好都合である。


 相手は弱い雌だ。 此方が数では有利である。

 そう確信した化け物達が、一斉に跳ぶ。


 僅かな足音に気付けたのは、改造された良とカンナのみ。

 二人は慌てて振り返る。


「ちぃ!? このやろう」「か弱い女狙うとかさぁ!!」


 慌てる良と虎女。 そんな二人の声に、博士も「え?」と振り向く。


 博士に狙いを付けて跳んだ化け物達。

 が、身体の違和感を感じる。


 次の瞬間、博士の目の前で化け物達がバラバラに散っていた。


 血と内臓をブチ撒けながら落ちる肉片。

 それは眼にも無残だが、博士は別のモノを見ていた。


 悠々と細身の剣を振り上げ、血を振り払う。

 ソレをするのは、組織の大幹部であるソードマスターであった。 


「いかんなぁ、戦地にて余裕などは無いぞ、首領」 

「え? ぁ、すんません」


 壮年の声に、良は素直に詫びを入れる。

 ソレを受けて、剣聖とまで称される壮年は少しだけ笑う。


「謙虚なのも良いことだ」

「あ、でも、どうして……」

「うん? あぁ、ほれ」


 ソードマスターはそう言うと、何かを指差す。

 場に居る全員が其方を向けば、何とも言えない光景が在った。


 派手にエンジン音を響かせながら現れたのは、組織が保有する中型のトラック。

 その荷台には、見慣れたピチピチタイツとマスク姿の構成員達。


 そんなトラックの助手席から、バッと降り立つのは、アナスタシアである。


「総員! 辺りを警戒しておけ!」


 マントを翻し、指示を出す。


「「「は! アナスタシア様!」」」


 やはりと言うべきか、構成員達の声は揃っていた。

 

 周辺の警戒は部下に任せたアナスタシアは、一人良の前に来る。


「あー、えっと……」


 良は、何を云うべきか迷った。

 既に自分は組織を【抜けます】と宣言して居る。

   

 だが、首領代行であるアナスタシアは、良の前で跪いた。


「お戻りに成られ、何よりです」


 言葉こそ丁寧だが、その声色は優しい。

 良は、思わず自分も膝を着くと、アナスタシアの肩に手を置いた。


 ハッと顔を上げる女幹部と良の目が合う。


「ま、色々、在りましたけど、こうして来てくれて、感謝してます」


 語彙の不足から、首領らしい挨拶ではない。

 それでも、それは、アナスタシアに取っては聴きたい声であった。


「申し訳在りません、至らぬばかりに、この様な事態に……」

「良いから! ほら、アナスタシアさんも立って!」

 

 声を掛けながら、ヒョイと女幹部を立たせる良。

 体に触れられているせいか、アナスタシアの喉が僅かに動いた。


「……首領、御支持を」

「いや、でも、いいのか?」


 戸惑いを見せる良に、アナスタシアは頷く。


「人を助けるのは本来我々の役目ではない、のですが。 そもそも人が居なくなれば、世界制服も平和も無いですから」

 

 幹部の声に、良は「そっか」と笑った。


 女幹部から手を離し、横を抜けて前線へと向かう。

 向かいながら、良は起動動作の構えを取った。


「だったら、サッサと片付けよう……」


 左手を捻りながら構え、その捻りを解き放つ様に伸ばす。  


「変……」


 伸ばした左腕を腰に構えて、右腕を左肩へと伸ばした。


「……身!!」


 辺りを眩ます光が放たれ、良が姿を変える。

 

「あれ? なんか、篠原さん、色が」


 愛が困惑する様に、良の纏う装甲は色が違っていた。

 禍々しい毒気は失せ、何処か穏やかな朝焼けを想わせる色へと。

 

「お? あー、まぁ、お色直しってね。 皆も変えたら?」


 首領として戻った良がそう言うと、三人の女が居並ぶ。


「まー、諸々は後にして……へーんしーん!」

「撫で撫ではおあづけか。 ま、良いけどね、変身っと」

「この姿は、見せたくなかった……変……身!!」


 愛が魔法少女へと姿を変える。


 そして、カンナも虎女へと、姿を変えるが、この時はアナスタシアもそうしていた。


 皆が姿を変える、のだが、一際目を引くのはアナスタシアである。


 普段の妙齢の女性という姿はからは全く想像が出来ない異様。


 赤青緑白の四色に加えて、黄色の斑。 正に五色の姿。

 良く言えば華々しいとも言えるが、悪く言えば毒々しい。

  

 女幹部アナスタシア。 その正体は、モンハナシャコ女である。


 流石の愛ですら、一歩足を引くが、良は踏ん張っていた。

 何故ならば、異形に変わったアナスタシアがシュンとして居る様に見えたからだ。


『この様な無様な姿は、首領には見せたくなかったのですが』


 見た目はどうであれ、その口から漏れるのはアナスタシアの声である。

 その声には、羞恥が感じ取れた。


 そんなモンハナシャコ女に、良は近付くと、頭と思しき部分を撫でた。


『俺も同じだろ? 頑張ろうぜ?』


 良の声に、四本の髭らしきトゲが慌ただしい動きを見せていた。


『は! 首領! 行って参ります!』


 良の言葉が鼓舞に成ったからか、勢い良く前進していくモンハナシャコ。


 そんな後ろ姿に、愛はウーンと呻く。

 外見はどうであれ、その中身は一応知り合いであり【気持ち悪い】とは想いたくない。

 そんな愛の肩を、虎女がパンと叩いた。


「ほら、速くしないと、手柄全部持ってかれるよ?」

「わかってます! とう!」


 アナスタシアを追う様に飛び出すカンナと愛。


 残った良は、博士とソードマスターを見た。


『博士、無理はすんなよ? 貴方も』


 首領としての声に、壮年の剣客は頷く。


「なぁに、とうの昔に現役はやめてるよ。 それでもま、お嬢様の面倒くらいは見てられるさ」


 掛けられる声に、良も先に行った者達を追う。

 その背中に、残される博士は辛そうな眼を向けていた。


「私も、行ければ良いんですけど」


 残念そうな博士に、壮年はフゥと息を吐いた。


「お嬢さんには自分の役目が在るだろう?」

「それは、まぁ」

「それに……」


 勿体ぶる様な声と共に、ソードマスターが振り返る。


 博士も追い付く様に気付いたか、化け物はまた現れていた。


「とりあえず、生き残らないと、な?」


 そう言うと、ソードマスターは自前の銃を博士に投げ渡す。

 見た目以上の重さに博士は呻くが、しっかりと取っていた。


「さぁ、少し運動しようか? 討ち漏らしを頼むよ?」

「はい!」

 

 剣を鞘から抜き放つ壮年の横で、博士も銃を構えていた。

 とは言え、ソードマスターは博士に戦わせるつもりは無かったのだろう。


 わざわざ仰々しい二つ名が与えられているのだが、それは、伊達ではなかった。


 もしも、自分が斬り損ねた場合は博士に頼むと云っておきながら、剣聖の動きには無駄が無い。

 長い間、それがどれだけかを考えるのも煩わしさを感じる程の時間。

 それを経たからか、剣聖は久しく剣を振るっていた。


「随分と久々だが、実に悪くない!」

「て? え、あれ、」


 剣を振るう壮年だったが、博士は在ることに気付いた。

 最初こそは正に【隠居したお爺さん】だったソードマスター。

 戦う内に、いつの間にか【血気溢れる青年】に変貌して居たのだ。


「余所見して居る暇は無いぞ! お爺さん! 離れるな!」


 その声は、かつて、英雄と呼ばれた頃の様に若々しく在った。

 

   * 


 いざ戦いに向かう。

 が、以前程には寂しさや不安が少ないと良は感じていた。


 その理由は、周りで戦ってくれる者の存在だろう。


 相も変わらず意味不明な魔法を振り回す少女。


「マジカール! アロー!」


 如何なる原理にて、川村愛の持つ杖から光線が放たれるのかは不明だ。

 それでも、放たれた光の矢は人間を避けて化け物だけに当たる。


「ええい! チョロチョロ鬱陶しい!!」


 並みの人間では、眼で追うことも困難な虎女。

 そんな速さを存分に生かし、化け物を腕から生える刃で裂く。


『たぁ! とぅあ!』


 掛け声はともかくも、パンチだけで化け物を屠っていくアナスタシア。

 地味な戦い方ながらも、その動きは凄まじい。


 ボクサーの様に軽やかな足取り(ステップ)を取る事もなく、ただ近寄っては殴る。

 一見する分には単純なパンチなのだ。 縮めた腕で、パッと殴る。

 

 が、その威力たるや凄まじく、化け物の頭が吹き飛ぶのだ。


 数だけを見れば、圧倒的に化け物の方が多い。

 が、それだけの数を持ってしても、現れた一団は止められなかった。


 

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