???
異世界は存在する。
現実としてこんな事態になった以上、今のところそれは可能性が高いと言える。
想定できることは現時点で既に数多い。
現状について、可能性の高い状況を絞り込むことも。
仮定。
異世界が存在するとして、それは元居た世界とこの世界だけとは限らない。無数に存在するかもしれない。
例えばその、無数に存在している場合。
今居るこの世界が、元の世界と似ていて、生きることができ、話のできる人間が居る……。この状況が偶然である可能性は低い。
なぜか都合よく、似た世界なんじゃない。
意図的に、似た世界に転移させられたと考える方が自然だ。
その場合、この世界に呼ばれた意味が存在する可能性がある。
何らかの意思が絡んでいる可能性。なぜか見続けているこの夢も、その可能性を引き上げている。
でも、これはあくまで一例だ。
根本から違うかもしれない。
世界はたった二つのみなのかもしれない。
関連性のある二つの世界だから、似ているのかもしれない。
その場合、単なる自然現象で、何の意義もなく転移しただけかもしれない。
転移ではないのかもしれない。
本当の本当に、都合よく偶然似た世界に転移したのかもしれない。
それだけじゃない。まだ――通りは想定することができる。全ては可能性だ。
時間はある。どれだけでも続けろ……。
もっとも、上木翔がここまで状況の認識を進めるのは……まだまだ先のことになるだろうけど。