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10年後の出会い2

 少々取り乱していたようです。

 ええ、ええそれはもう。


 家に戻ってきた時はまたしてもドキリとしました。

 まさかお父さんが血相を変えるなんて。私よりよっぽどレアです。

 まあ背丈のせいもあって、私がほとんど埋もれるような状態で帰ってきましたしね。覆いかぶさってるのが裸の男性とあっては、手元の槌で殴りかかるのも無理ありませんか。


 そんなひと悶着があったのも、私が動揺していたからですね。

 事件と言ってもいいくらいの出来事なんです。冷静になってみれば、この人をあのまま運んで連れてくることもありませんでした。

 お父さんを呼んでもよかったですし、せめて一度、この人に着せる服を取りに帰ってからでも遅くはなかったはずです。症状にだって、あたりがついていたんだから。

 ……でもこの人、具合悪そうだったし。


 …………。


 ああもうっ、いいんですよ過ぎたことは。

 感触が生々しかったとか、どうでもいいんです。


「悪い人には見えませんが……」


 そう、問題なのは今、そしてこれから。

 眠っていても優しく微笑んでいて、悪人には見えないといっても……不審者なのには変わりない。

 顔色もよくなってきてます。この人もそのうち目を覚ますでしょう。

 その時どう話をするか。

 今一度、落ち着いて考えてみましょう。

 なあに大丈夫です。時間はあるんですから、慌てずに考えて準備――


「ん……」


 ――を!?


 まだ猶予があると、油断した隙を突くかのように、横になっている男性が身じろぎしました。

 どうやら目を覚ますようです。


 ああもうまだ何もっ。

 あの時はとっさに上からいくことにしましたが、どうしたら?

 今は工房にお父さんも居ますし、あとはええと、ええっと……っ。


 そうこう考えている間に、とうとう男性は、目を開いてしまいました。

 とにかくもう決めるしかありません。


 ……冷静に、上からいくことにしましょう。


 結局変わらない方針のまま、私は目の前の男性と向き合うことになりました。

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