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上木翔という名の男3

 とにもかくにも、翔は求められる自分を演じ続けた。

 先に振り返った一件での内容以外にも、上からの制約は数多い。

 それを翔は、律儀に全て守っていった。手を抜かずに、できてしまう能力があった。

 これだけならまだいいのだが、翔はそもそも……。


『店長はねえ。いつも笑顔だしこっちも気分いいよね!』

『すごい頭いいしね。私もやり方教えてもらって仕事楽になったもん』

『ただ自分でも言ってたけど、ちょっと気合入りすぎちゃうところがね』

『そうそう、あたしらでブレーキかけてあげないと』


 これは、今の翔が自店の従業員から受けている評価だ。

 彼は自分の欠点を、“やりすぎること”としていた。

 本来であれば、部下の管理やペース配分を正確に行うのも、店長の業務の一つ。

 それを角が立たないよう、若さと未熟さを演出しつつ、年上の部下たちに“頼った”。

 “上木 翔”は、本部の意向をしっかりと汲み取り、自店舗の従業員満足度を引き上げてみせたのだ。


 ……ただしそれは、部下たちはの話だった。


 いやー……なんだろうねこれは。

 ずーっとニコニコと笑ってて。

 無邪気でやる気に満ち溢れてて。

 集団の中で一番能力が高くて。

 でも、少しばかりやりすぎるのが玉に瑕。

 これで上手くいってはいるんだけど……。

 なんかあれだよね。どこかのファンタジー小説の主人公みたいだ。

 いやまあ……実際に参考にして演じてきたんだから、当然なんだけどさ。

 この世はファンタジーだった? うーん……。

 それならいっそ、本当にファンタジー世界に生まれていれば良かったのに。

 命が掛かっている状況なら、もっと全力の自分を求めてもらえるんじゃないだろうか。

 なーんて……ね。

 夢みたいなこと言ってる暇があるなら、現実でそういう場所を探した方がいいに決まってる。

 でも……今まで生きてきて、そんな場所は()()()無かった。

 何かのプロの世界にでもいけばよかった?

 運動はそれほど得意というわけじゃないけど、それ以外にもプロの世界はある。

 ……いや、それも今さらか。

 腐ってた俺が悪いんだろうな。

 本当に……笑って生きている人たちはすごい。

 このままだと、俺もそのうち……。


 満たされない日々が続いていく。

 次は、どこを目指せばいいのだろうか。


 そんなある日の夜に、翔は不思議な夢を見る。




  ・上木翔の異世界チェーンストアライフ

 >・異世界チェーン(状況変化。???は見つめている)


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