変化
現在、二日連続の徹夜明け……ではありません。
話は少し戻ります。
まず、お兄さんはあの日の寝かさない宣言を、容赦なく本当に遂行しました。
私がこの世界のことを答え続けた一日目とは逆に、お兄さんの知る知識をひたすら詰め込まれる夜。驚くような内容も多く、徹夜二日目でさえなければ、そこまでつらい時間にはならなかったことでしょう。
しかしながら、現実は非常です。
話そのものは興味深いせいで、ひどい眠気があるにもかかわらず、絶妙に寝てはしまえない時間が続きました。
そして、お兄さんのいう基礎の基礎講座が終わった時には……外から朝日が差し込んでいたんですね。
あの時、私は心底絶望しました。
あれほど一日の始まりを実感したことはありません。もちろん嫌だという意味で。
それでも、私は気合を入れて動き始めようとしました。
食事をして、今日も村で店を出すんだと。
問題はこの後でした。
お兄さんが、気楽な口調でこう言ったのです。
「じゃあ、マリーは今日お休みにしなよ!」
何を言っているのかと思いました。
休日の概念については、講座の中で聞いた覚えもあります。それでも、それはお兄さんの世界ではの話です。
さすがのお兄さんも、眠気で少しおかしくなっているんだと思いました。
でも、お兄さんは本気も本気だったんです。
私の身体を勝手に、勝・手に抱き上げて、そのままベッドの上まで運んでしまいました。
大してやわらかくもないベッドです。普段なら、何をするんですかと飛び起き、お兄さんに詰め寄ったでしょう。
しかしながら、この時の私は慣れない徹夜明け。しかも二日目でした。
ほとんど抵抗もできないまま……私は不覚にも、ぐっすりと眠ってしまったんです。
こうして私は、十年続けた店を他人に預け、初めての休日を過ごすことになりました。
……もっとも、ほとんど寝ていただけですけど。
徹夜をすると、その後ここまで深く眠ってしまうものだとは……。
今後は、気をつけなければなりませんね。




