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この世界の把握も、かなり進んできた。
それによって一つ、最初に可能性を高く見積もっていたこの世界の形について、疑問が生じている。
ここが似ている世界なのはほぼ間違いない。
ほぼ同じ物理法則に則り、ほぼ同じ生活が人間によって営まれている。
異なっているのは文化レベルだが、これは一概には言えない。
なぜなら、異世界だからだ。
当然のことだけど、いくら似ているからって、元の世界のどこかの時代における文化レベルに、そのまま該当するとは限らない。
つまり、元の世界との差異は文化レベルだけではないかもしれない。
言うまでもなく明確なもので魔術があるが、そうではなく。
ほぼ同じだと思っていた文化の方で、だ。
例えば、これから上木翔が取り掛かろうとしている商業文化。
これが……おかしい。
違いがあるのは当たり前なんだ。
でも……でもこの世界の商業が、元の世界と同じ法則の下で成り立っているなら、違っていてはいけない部分というものがある。
異世界なんだから、想像できない何らかの理由があるんだろう……では済まない根幹がある。
上木翔は、まだそこまで気づけない。
もっとも俺から見てもまだ、“だからどうなっているのか”は想定しきれないが……。




