お兄さんを引率して2
いつもの場所に着いたら、さっそく店の準備をします。
主には、剣や盾。武具のカテゴリーに含まれる物が多いです。
扱いとしては、金属関連なら幅広く……という感じでしょうか。お父さんは凄腕鍛治氏ですからね。
お兄さんはさすがというか、経験者だと言っていただけあります。
動きは速いし、正確。指示したらこれ以上ないってくらいテキパキと商品を並べてくれる。同時に周りを見る余裕まであるようです。
随分と慣れた手つき。ここまで綺麗に並べたことなんて、私にはありません。
……まあ、ここまでやる意味があるとは思えませんが。
それよりも、やっぱり落ち着きがありません。突飛なことをし始めないか心配です。
「よし……」
「え? お兄さんちょっと!?」
ああもう考えた矢先に!
「おはようございます! 訳あってマリーさんの所でお世話になっています。今日はお手伝いとして、ついて来ました。この辺りのことには少々疎いので、ご迷惑をかけることもあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします!」
気づいた時には、お兄さんが隣の店の前まで移動していました。
本当に本当に油断ができません。
「……」
ああ……。
あまりの勢いに、ソウさんがなんだこいつはという顔になっています。
当然です。お兄さんほど騒がしい人は、ここには誰一人居ないんですから。
「えっと……」
今さら、まずかったかも……みたいな顔しても遅いです!
「……ああ、よろしくね」
「あ……よろしくお願いします」
ソウさんが笑ってくれたからって、ホッとしてる場合じゃないですよ……。
幸いなことに、相手が偶然ソウさんだったから、こうしてなんとかなりました。
これが話を通してない他の誰かだったら、いったいどうなっていたか。
……って、私もそんなことを考えてる場合じゃないですね。
「ちょっとお兄さん! びっくりするから、あまり勝手に動かないで!」
「おはようマリーちゃん。どこから連れてきたのか知らないけど、元気なニイちゃんだねえ」
えっ、ここで惚けるんですか?
なんで?
と、とりあえず合わせるしか……。
「ソウさんごめんなさい。ちゃんと私が紹介しようと思っていたんだけど」
「まあ、事情は聞いておかなきゃならないしねえ」
「うん、きちんと説明するから。お兄さん、私ソウさんと少し話があるから……」
「そっか、じゃあ残りのお店の人にも挨拶してくるよ」
「い、いやお兄さんそうじゃなくて……」
今の気まずい空気をもう忘れたんですかこの人は!
「あっはっは! まあいいさ行っておいで。どうせ他の連中も今のやり取りは見ていただろうし、問題はないさ」
「それは、そうかもですけど……」
「では、行ってきます。マリー、挨拶が終わったら店の手伝い、続きするね」
「あ、うん。いってらっしゃい」
そうしてお兄さんは、意気揚々と店を回りに行ってしまいました。
ソウさんの言う通り、もう何をするかは知れているので放っておきましょう。




