『出会い』
初めて投稿してみました。
最後まで読んでもらえたら嬉しいです。
夜、びっしりと並んだ建物がたくさんあるそんなところで氷上勇樹は一人特に意味もなく、フラフラ歩いていた。
たくさんの人たちとすれ違いながら家路に急ぐわけでもなく一人歩く。
街灯によって照らされたその道を歩いていて少し思う。
「平和だな」
思っていただけなのに声にでていて、少し驚く。しかし気にしない。
やがて人の通りも少ない道にでて、ふと足が止まる。
(こんな道、あったっけ?)
いつもの帰り道のはずなのに知らない道が当たり前とでもいうように存在していた。
勇樹は少し考えてからその方向へ足を運ぶ。急ぐ理由が無いからと。
10分、体感でそのくらい歩いていた。一向に変わらない景色と道に疑問を覚えながらも歩く速度を変えずひたすら歩く。
やがて周りに木しかなかった物寂しい道が開けてそこには公園があった。
「なんでこんなとこに公園が?」
そんなことを考えながらあたりを見回す。滑り台に上り棒、ジャングルジムにブランコなど、どう見ても普通の公園だった。そしてワンテンポ遅れて人影に気づく。その公園にあるブランコの一つに座り、うつむきながらそのブランコをこいでいた。
「あっ」
そう、小さく声を漏らすと向こうもこちらの存在に気がつき
「えっ?」
と、こちらも小さく反応する。
振り向いたときに見えたサファイアのように透き通るほどの青い両目、月の光りを反射していっそう輝いて見えた長い銀色の髪を持つ整った顔立ちの少女は勇樹を見た。
次の瞬間、座っていたブランコから立ち上がり一歩二歩下がりながら怯えた様子で
「誰…ですか?」
と、聞いてきた。
驚かれたときに勇樹も驚き、一歩下がっていた。しかし、すぐに
「僕は氷上勇樹。怪しいものじゃないよ」
と、答えた。
とっさに答えてしまったので完全に怪しいひとの言うセリフになりとても後悔していたが少女は何故か少し警戒心をとき、おもむろにこちら歩いてきた。勇樹の手前で止まると勇樹の服装や持ち物そして顔を見てこう言った。
「特徴という特徴はないですね」
そんな自分でも知っていること直球で言葉にしてぶつけられカチン、ときて少し言い返した。
「酷いこと言うなよな。それより君はどうしてこんなとこにいるの?迷子?」
それを聞いた少女は頬を膨らまし、ムッとした表情で
「違います!私は迷子じゃありません」
そして、
「私は別の世界からきた人間です」
そんなこと言った。胸を張って。正確には胸はないが…
しかし、その目はとても真っ直ぐにそして力強く勇樹の目を見ていた。
その目にはなんとなく嘘は無いと言われている気がし、そして不思議と勇樹もそう思った。
夏、その夜。緑色の葉が生い茂っていた木々たちが一斉に風に揺れていた。まるで二人を歓迎するように…
これが二人の初めての『出会い』だった。
キリが悪くなってしまいましたが序章の序章は終わりです。
良ければコメントをください。