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「お寺? お寺でなんするん?」
「修行」
「修行?」
聞けば天野さとりの紹介で、小さいが法力も人徳も保障つきの僧侶がいるお寺で、修行することになったのだそうだ。
「父ちゃんも母ちゃんも、めちゃめちゃ反対したけどね」
そう言うとしやは、すごく嬉しそうだった。
としやが旅立つ日、俺たちはショッピングモールで会った。
「お寺で修行して、お坊さんにでもなるん?」
「うん」
「真琴さんみたいになりたいから?」
「うん」
「でも、才能がないって、言われたけど」
としやが言った。
「俺、考えたんや。たとえば野球が好きでプロ野球選手になりたいと思って、一生懸命練習したとする。でもプロ野球選手になれるやつなんて、ほんの一握りしかおらん。努力すれば誰でも夢がかなうと言うわけではないんやな。でも一生懸命練習すれば、練習する前よりかは野球がうまくなる。だから努力は絶対に裏切らない。その確立は、なんと百パーセントや」




