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天使としか言い様のない笑みだった。


「さようなら」


真琴と男が白く光った。


その輝きは強く、俺は思わず目を閉じた。


そして目を開けたときには、白い真琴も青白い男もいなかった。


そこには床に、赤く染まった若い女の死体があるだけとなった。



匿名の通報を受け、警察がやってきて真琴の死体を見つけた。


頼まれてもいないのに坂下のじいさんが、地区の代表だ、と言い張って、強引に警察について行った。


警察も子供のころからじいさんを知っているものが多く、じいさんは苦手なようで、おおっぴらにじいさんを止める者はいなかったようだ。


後からじいさんがみなに語ったことによると、しばらくして高知から死んだ女の両親と姉が駆けつけてきたそうだ。


両親は押し殺したように静かに泣いていたが、顔中傷だらけの姉は妹の死体にすがりつき、号泣したと言う。


 

その後、高校受験まじかとなったが、としやは俺が「何処の高校へ、行くん?」と聞いても、いつも軽く笑うだけだった。


そして俺の高校が決まり、卒業が近づいて来たときに再び「何処の高校へ、行くん?」と聞くと「高知に行く」と言った。


「高知の高校へ行くん?」


「いや、お寺に入るんや」


「お寺?」


俺は驚いた。


としやは今までそんなことは、一言も言っていなかったからだ。

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