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「ええ、あなたならそれは可能でしょうね。私より強いもの。いつかは自分よりも強いやつと対峙するときがあるかもしれないとは思っていたけど、まさかこんなにも早くこのときがやってくるとはね。ちょっと想定外だったわ」
真琴は下を向いてかがみこみ、何かを拾った。
しかし角度的な問題で、それが何であるかは俺からはよく見えなかった。
再びとしやが唾を飲む音が聞こえた。
真琴は再び男を見た。
「確かに凄い力だけど、その力、生きている私には勝てても、死んで肉体を捨てた私には勝てないわよ」
そう言うと真琴は、手に持った何かを首に当てた。
そのときそれが何であるか、俺にも見えた。
それはガラスの破片だった。
真琴はその破片を力をこめて引いた。
ぶしゅっ
確かに音がした。
そして真琴の首から、まるで放水でもしているのかと思えるほどの大量の血が、噴出してきた。
「……」
「……」
やがて真琴はゆっくりと地に倒れこんだ。
しかし確かに倒れたはずなのに、そこに真琴が立っていた。
淡く白い真琴が。




