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そのうちに笑い終わると思っていたのだが、真琴はいつまでたっても笑い続けていた。
――いったいいつまで笑うんだろうか。それにしてもとしやの言ったことは、確かにおかしいことかもしれないけど、そこまで笑えるもんだろうか?
考えていると、真琴がようやく笑うのを止めた。
「ごめんね。うちは親族でやっているから、他人は参加できないのよ」
「……そうですか」
「それに君が霊能者なんて、とてもお勧め出来ないわ」
「えっ、なんでですか?」
「理由は二つあるわ。一つ目は誰にでも当てはまること。私の知る限り、ほとんど親族なんだけど、霊能者として生きた人は、一人残らずろくな死に方をしていないわ。はっきり言ってしまえば、みんな悲惨な死に方をしているのよ。まあ霊能者なら、当然と言えば当然だけれどもね。そんな仕事、聞けばまだ中学生だという君に、お勧めする人なんていないわ」
「……」
「そしてもう一つは、君にだけ当てはまることだけど」
「俺だけですか」
「そう。一言で言えば君は、まったく才能がないわね」
「……」
「うちの姉もなかったけど、それでも一般人と比べればずいぶんましだったのよ。あれでも。ところが君は、霊能力に関しては見事なまでに普通ね。ごくごく平均的。それじゃあいくら努力しても無駄よ。走るスピードが普通の人間が、いくらがんばっても国際的なトップランナーになれないようにね」
「……」
「そりゃあがんばれば、だれでも多少は霊能力が上がるわよ。でもあくまで多少ね。私の姉も、ああみえても若いころは必死で修行に耐えてきたのよ。修行の前よりは、霊能力も上がったの。でもその結果が、あれよ。半ば悪霊化しているとはいえ、もともとは小さな子供の霊。それを払うことが出来ず、それどころか憑かれた人への攻撃すらも止めることが出来なかった。霊能者としては全然駄目ね。お話にならないほどに。そして君の才能は、その姉よりもまだ小さいの。なら結果は、言わなくてもわかるでしょう」




