真琴という女

３０

「……はい」

「それなのにある日私に対する対抗心から、あなたたちと同じように姉を私だと思った人に憑いた霊を払おうとしたのよ。その結果、どうなったと思う」

「……さあ」

「よくはわかりませんが、大変なことになったんじゃないかと思いますが」

「そう、大変なことになったの。姉も数日間入院したけど、とりつかれた人はもう少しで死ぬところだったのよ。幸い私が駆けつけて、なんとかしたけど。その時私も含めて、一族郎党で締め上げたと言うのに、またやらかすなんて。反省が足りなかったのね」

「……」

「どう、反省してる？」

「……してます」

「もう二度としない？」

「しません」

「誓う？」

「誓います」

「失敗したらねえちゃんもとりつかれた人も、命が危ないんだからね。本当にわかってる？」

「わかってます」

俺は思った。

先ほどから姉が妹に敬語を使っているなと。

「またやったって、一族みんなに通達するわよ」

「……はい」

真琴は俺を見た。