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するとこの若い方の女が、天野真琴ということになる。
そして真琴はソファーの女をおねえちゃんと呼んだ。
するとこの女は天野真琴ではなくて、彼女の姉と言うことになる。
「あれほどいったでしょ」
「だから違うってば」
「もう許さないわ!」
真琴は姉の顔に拳を叩き込んだ。
格闘技でもやっているのかと思えるほど、腰の入ったパンチだった。
この拳は姉の顔面をクリーンヒットした。
「ぶぐっ」
姉が大きくのけぞった。
しかし真琴の攻撃は止まらない。
次々と何発も連続して拳を叩き込んだ。
姉は身を縮めて両手で顔をガードしたが、そのすき間を縫っておもしろいようにパンチが入ってゆく。
俺もとしやも、それをただ呆然と見ていた。
二十発は殴っただろうか。
真琴の攻撃がようやく止まった。
姉の顔はその面影が変わってしまうほどに腫れ上がり、鼻血を出し、口を切り、目の下も両目とも切っていた。
おまけにおんおん泣いていたので、その顔が血と涙でぐちょぐちょになっていた。
姉の変貌振りを見ていると、真琴が俺を見た。




