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「ちょっ、何とかしてください」
「うるさいわね。こっちはこっちでやってんのよ。余計なことを言わないで黙ってなさいよ」
「痛い痛い痛い痛い痛い」
「おねえちゃん、何やってるの!」
突然女の声がした。
目の前の女とは違う声だ。
見れば入り口にもう一人の女が立っていた。
ソファーに座る女と少しだけ似ていると言えば言えないこともないが、その顔から受ける印象はまるで違っていた。
なにせとびきりの美人なのだから。
顔の造形を少し変えるだけで、これほどまでに印象がかわることに俺はびっくりした。
その見た目は十八、九歳くらいに見えた。
そして俺は気付いた。足の痛みが無くなっている。
さらに部屋の空気が一変していた。
何をどう表現していいのかわからないが、とにかく完全に変わったのだ。
ソファーの女が言った。
「あっ、真琴。違うのよ。これは違うのよ」
「何が違うの?」
「そっ、それは……」
真琴と呼ばれた女がソファーの女に近づいた。
ソファーの女は後から来た女を、真琴と呼んだ。




