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そして中身を確認すると、テーブルの上に置かずに床に放り投げた。
「たった一万円だからね。さっさとすませるわよ」
女は俺に向かって手をかざすと、なにやら呟き始めた。
最初は何も起こらなかった。
しかししばらく経つと、俺の足首を何かが掴んだ。
子供の手だ。
女は相変わらず眼を閉じて、呪文のようなものを呟いている。
すると突然、俺の足首に強烈な痛みが走った。
掴んでいた手が、その力を強めたのだ。
その力はとても子供のものとは思えなかった。
と言うよりも、大人でもこれほどの力を持つものは、日本中を探してもそうそういないのではないか。
そう思えるほどの強さだった。
「痛い痛い痛い痛い!」
俺はあまりの痛さに身をよじった。
「おい、大丈夫か?」
「何やってんのよ。除霊の最中に動かないでよね。じっとしときなさいよ」
「痛い痛い痛い痛い」
「すみません。なんか、かなり痛がってますけど」
「男の子でしょ。我慢しなさい。この弱虫!」
「痛い痛い痛い痛い」




