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その名は天野真琴。
なんと二十四歳とある。
若い。
霊能書と言えばおばさんのイメージしかない俺にとっては、かなり意外だった。
それにとしやは四年前から知っていると言っていた。
四年前なら天野真琴は二十歳だ。
そのときすでに彼女は香川の郡部の小学生が知ることが出来るほど、有名だったと言うことになる。
としやが言った。
「若いやろ。中学を卒業してすぐに高知の霊山に一人で入って、修行したそうや。二十歳になる前に、その界隈ではまわりから一目を置かれる存在になってた。もって生まれた才能の上に、人並みはずれた努力でそこまでになったんや。ほんま、すごいわ。ほんま、あこがれるわ」
資料を見るとしやの目は、大好きなアイドルを見るそれとなっていた。
「今住んでいる場所も高知駅からけっこう近いわ。広島でなくてよかったやん。広島だったら中学生が日帰りするんは、時間的にも経済的にもきついけん」
そう言ったとしやはとても嬉しそうだった。
その後は時間的なものも含めて細かい打ち合わせ。
中学生が親に内緒で日帰りで高知に行くのは、近くのコンビニに行くのとはわけが違う。
俺は最初に一番気になんていることを聞いた。
「この人若いけど、ほんまに大丈夫なん?」
「大丈夫や。霊能者というもんは三割は完全ないんちきで、五割は中途半端な力しか持っていなくて、本物は二割くらいや。真琴さんはその二割の中でもトップクラスやからな」




