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「人里はなれた山奥で修行しているとか……」
俺のその一言にとしやがくいついて、何故か興奮気味に言った。
「香川県の山地面積は四十七都道府県中、四十二位やぞ。東京とあんまりかわらん。山はあるけど人里離れた山奥なんて、香川県じゅう探しても何処にもないわ。この近くで言えば、広島県や高知県にいったら、なんぼでもあるけどな」
としやはオカルトに詳しいだけではなく、こういった統計的なものもやけに知っていた。
俺は聞いた。
「ほんなら、どうしたらええ?」
「ここにはおらんけど、よそにはおるんとちゃう?」
「どこに?」
「それはこれから調べることになるな。まあ、まあ、ネットに頼ることになるとは思うけど。ネットの情報はデマも多いけど、きちんと調べたらけっこう真実にたどりつくわ」
「……」
としやは俺のガラケーを指差して言った。
「こういうときはスマホのほうが便利やぞ」
「じゃあ今すぐ、としやので調べるんか?」
としやは何故か空を見た。
「いや、今日は日が悪い。明日にしよ」
「なんで?」
「なんでも」




