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怪異な現象については、俺よりも詳しいだろう。


「それって、まがりとちゃう」


「まがり?」


「そう、まがり。このへんではまがりって言うてるけど。岡山じゃあすねこすり。群馬県ではオボで、高知ではノツゴとか言うてる。歩いとると、足にまとわりついて邪魔するんや」


「……って、それ何?」


「妖怪や」


俺は腰が砕けそうになった。


プチオカルトファンの俺は、幽霊とか超能力とかUFOとかUMAとかは信じているが、妖怪と言われても、なんだか的外れのような気がしたからだ。


口を半開きのまま黙ってとしやを見ていると、さすが幼少のころからの付き合い。


俺の気持ちを読み取ったらしい。


「まあ、妖怪ゆうても怪異の一つには違いないけんなあ。昔の人は説明のつかない奇々怪々なものを全部妖怪のせいにしたんやから。すねこすりなんかは犬みたいなやつと言われとるけど、オボとかは死んだ子供の霊と言われとるからな。まあ、幽霊やな」


「……幽霊」


「だからあの家にいた自縛霊、つれてきたんとちゃうか?」


「……」


「まあ俺なら、徳の高い坊さんかちゃんとした霊能者を探すけどな。平成の大合併でほとんどの郡部が市になったり市に吸収されたりしたのに、未だに郡部やっているようなところにはおらんとは思うけど」


俺は思いつきで言った。

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