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第八十四話 生暖かい目

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 次の日の貴賓室。



「という訳でレディース・アンド・ジェントルメーンの皆さん用意はいいですかあああああっ!」


僕は踊りながら皆に声を掛けていた。


 ……徹夜明けだがら物凄く眠いのを誤魔化してるだけなのです。


 決して悪徳貴族達に毒を盛った策略が成功したからでは無いですよ。


 まあ、致死性の毒ではないので死に至るまで二週間程度という所だろうか。

 まあ、死亡確認せずとも、僕に経験値が入ったって事は『成功』扱いで良いのでしょう。


 お陰で僕は暗殺者のジョブが三十レベルにまで成長しました。


 ……正直、毒殺しておいてレベルが上がるのを喜ぶのは人としてどうかとは思うが……。


 とにかく僕は暗殺者ジョブだけは王族レベルになりました。


 正直に言うと内心は今でも複雑だが……。


 クリスとサラにサキ姉さんはその僕の様子に溜息を付く。


「「「またか」」」


 そして三人供に生暖かい目で僕を見る。


 ……その目だけは止めて欲しい。


 アカにクレナイやルージュ、シンクにエンも僕の様子を見て首を振る。


 うん呆れてますね~~。


 なんかむかつく。

 むかつくよね。

 凄くむかつく。


 後で皆に激辛料理でも振る舞って食らわせてやる。


 シャルは僕を無視して帳簿を付けてる。


 ……良いけどさ~~。

 

 セリスとマリさんは手を顔に当て溜息をつく。


 キキとキルは両手を広げ首を振る。


というか僕、全員から生暖かい目で見られてるよ~~。


 いいもんっ!


「この国を立て直すために皆さんのお力を貸して下さいいいいいいいいいいいいいっ!」

「落ち着けがな」




 ガシッ!




「アベシッ!」


 クリスに剣の柄で殴られた。

 そのまま床に叩きつけられる僕。


 酷いよ~~。(泣く)


「どうしたのカイル? 何か悪い物でも食べたの? 出来ればシスター的にはそれを食べさせて欲しいなあ」

「いい加減にするの。色気より食い気か。この行き遅れの年増」


 シスターの食い気溢れる発言に対しサラは毒を吐く。


「サラちゃん酷いいいいいいっ!」


 涙を流しながらその場を飛び出していくシスター。


「シスター。朝御飯までには帰って来てね」


 床から起き上がりながら僕はシスターにそう叫ぶ。


「段々シスターの扱いが雑になってないですか御主人様?」

「……」


 僕はエンの突っ込みに愛想笑いで誤魔化す。

 そのまま椅子に座り真面目な顔を作る。


「さて、これから皆への用件を話しましようか」

「「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」」


 まだ呆れた目で見られ続けているように感じるのは僕の気のせいだろう。

 全員冷汗を流してるのを見てませんから。



 ええ。


 多分。(目を逸らす)



「それで頼み事とは? シスター的にはすぐに聞きたいなあ~ 早く朝御飯を食べたいから……もぎゅ」

「黙ってろなの、この駄目駄目シスター」


 いつの間にか戻ってきていたシスターの口を塞ぐサラ。


「あんた、私達にどんな力を借りたいの?」


 呆れ顔のセリスは僕にそんな風に尋ねてきた。


「まあ、僕にアイデアが有るので、それに対して色々とね~~新月」

「はい」


 僕の傍に新月がメイド服で現れる。

 今まで居なかった者が急に現れたので皆が驚く。


「何時の間になの……」

「忍者みたい」


 サラとアカがひそひそと小声で内緒話をする。


 忍者です。

 元ですが……。


「色町での諍いの件なのですが、此れは少ない娼婦を皆で取り合い、事件にまで発展した事が原因です。そこで~~」


 新月の発言は最後まで語る事が出来ず中断された。何故なら……。


「「はあっ!」」

「何を言ってるがな」

「腐腐腐腐腐腐腐腐腐。良い度胸をしてるわね」


 何故かシスターにサラやサキ姉さんとクリスが突然激怒したからだ。


 えっ?

 あれ?

 何で?


 皆の態度の急変に戸惑う僕。




 ギリッ!





 世界が軋み悲鳴を上げる。


「え?」


 不意に喉が渇く。

 唾が出ず口の中が粘つく。

 呼吸が浅くなり息が乱れる。

 全ての血が逆流する。

 全身の産毛が逆立つ。

 更に全身の毛穴が開き嫌な汗が出てくる。

 耐えようの無い悪寒を感じる。



 その瞬間、僕は確実に自身の死の足跡を身近に感じた。



「ああああああああああああああああああああああああっ!」

 

 怖気を含んだ恐怖に対し僕は震える。 



 撲殺。

 焼殺。

 刺殺。

 惨殺。



 四つの死を幻想させられたからだ。


「覚悟は良いでしょうね……シスター的に」

「殺されても文句は言えないの……」

「楽には殺さないがな……」

「腐腐腐腐腐腐腐腐腐……灰になるまで燃やしてやる」


 殺意が圧力となり僕を拘束する。

 この時僕は久し振りに下半身を濡らし、意識を手放し気絶しました。






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