第六話 お金。
遅くなりました。
金は天下の回り物。
時は金なり。
金が無いのは首が無いのと同じ。
などと金に関する格言は多い。
……多分。
前世で金目当ての女に関して良い思い出は無いんだよね……。
告白してきて付き合った女は全て僕が稼いだお金が目当てだったし……。
デート代は全て僕が奢り。
しかも高額なブランド物を買わされたなあ……。
なのにキスは愚か手を繋いだことすらなかったけ……。
金が無くなると捨てられたし。
……汗が目に染みるぜ。(現実逃避中)
……前世は酷かった。
お見合い?
それで信用できる女を捜せって?
なにそれ?
お見合いって唯の食事会だろ。
合コン?
聞いた事ありますね……。
唯の飲み会でしょう。
出会い系?
僕と会った瞬間悲鳴を上げられました。
それが何か?
警察のお世話になる前フリですか?
世の中は厳しい…。
女の子なんてレンタルDVDで充分だろ。
二次元の女の子が最高っ!
いけない。
最近は目から汗が出やすくていかんな…。
話が脱線した。
この世界では金が無い時代は物々交換で済ませてきた。
塩や食べ物や魔石。
もしくは生活で使う物や嗜好品など。
だが物は嵩張る。
食い物なら腐る。
双方が納得できる物が用意できない場合もある。
挙句の果てには喧嘩にまで発展したらしい。
そんな歴史があった。
そんな訳でいつしかお金が生まれたのは必然と言えよう。
まず最初は塩。
もしくは石や銅の金属貨幣が使われた。
次に銀が使われ最後に金が使われ始めた。
お金にはそうして最終的に金もしくは銀や銅や石が使われ始めた。
嵩張らない腐らない双方が納得できる品。
それがお金だ。
前世のお金を此方の世界の物に変えると此れぐらいになります。
一円 = 石貨(岩塩)
十円 = 小銅貨
百円 = 大銅貨
千円 = 小銀貨
一万円= 大銀貨
十万円= 小金貨
百万円= 大金貨
以上です。
お金の価値は場所によって変わります。
なのであくまでも目安です。
現在お金を発行している国はククル村の近くでは三カ国。
王都。
帝都。
法王国。
亜人との共存を掲げた国であり近年、統治者である魔王が変わった王都。
亜人もしくは人族を含めた七人の強者が統治する帝都。
亜人を魔族と蔑み排斥を掲げた教皇が統治する人類至上主義の法王国。
因みにククル村で流通してるのは王都の物だ。
帝都の通貨も使えるがあまり好まれない。
法王国のは論外。
なんで金の話をしていたか?
その理由を語りましょう。
将来、嫁を沢山貰うなら養わなければいけません。
其の為にお金を稼がなければなりません。
と言うわけでお金を稼ぐことを考えた四歳児の僕。
だけど、ぶっちゃけ元手となる資金がない……。
最初から詰んだ。
気を取り直してご飯を作っていた時の事。
そんな時、隣のパン屋から売れ残りの白いパンを貰った。
此れで思いついた。
中に様々な具材を挟むことで手軽に食べられる物。
サンドイッチ。
此れを幾つか作り半分を村に来ていた商人や冒険者に売った。
残りを隣のパン屋に置かせてもらい売ってもらう。
売値の一割を報酬として委託したのだ。
これがバカ売れした。
そしてパン屋にこう持ちかけた。
『今度からサンドイッチ売り上げの一割を五年間くれるならレシピを教える』と。
返事を聞かず次の日、他のパン屋にハンバーガのレシピを教え同じような条件で委託した。
こうなると両方のパン屋は深読みしてこう考える。
僕にキチンと誠意を見せれば色々な商売の種を教えてくれると……。
逆に子供だと侮れば自分が潰される側と恐れた……。
そんなつもりではなかったんだが……。
唯単に教え忘れてただけなんだが……。
まあ良いか。
其れを資金にしてサラ姉さん協力の元、耐熱ガラスを完成させた。
ピクルスや日持ちのしない果物の瓶詰めを作るためだ。
それを村人や商人達に試食してもらい村の雑貨屋に委託販売してもらった。
これも馬鹿売れした。
特に商人が船乗りに売り込んだ所、人気の品になりました。
長い航海で野菜や果物を取れるのは有り難いですからだ……。
しかも水なんか腐らないし。
こうして村では新たな特産物が増えて村全体の懐が潤った。
ちなみにこの瓶詰めも売り上げの一割を貰うように契約しました。
それから更に木炭の製造方法やら何やらを収入の少ない方に教えた結果……。
気付いたら僕は村でも有数のお金持ちになりました……。
……いかん自重するのを忘れてました。
というわけで四歳になりました。
この時点での習得したジョブのレベルは次の通りです。
魔術師レベル五、僧侶レベル三、鍛冶師レベル五、薬師レベル五、学者レベル五、錬金術師レベル五、商人レベル十、盗賊レベル一、戦士レベル一、弓兵レベル一、兵士レベル一、騎兵レベル一、槍兵レベル一、格闘家レベル一、気功師レベル一、幻術師レベル五。
……習得するのに苦労したなあ……。(しみじみ)
と言うかクリスから鬼畜な扱きを受けたし……。
因みに空いた時間にお金を稼ぎました。
そんなある日、訓練と言う名の扱きを受け休んでいた時の事。
汗を拭くクリスから質問を受ました。
「四歳児がそんなに金を稼いでどうするがな」
自分が拭いたタオルを渡さないでっ!
良い香りがするでしょうがっ!
「え? 結婚資金」
「誰と結婚する気がな」
クリスがジト目で突っ込みを入れる。
「うんとね? サラとかサキ姉さんとか他にも沢山?」
「まてっ! 何人嫁にする気だっ!」
「沢山だよ。クリスも嫁にならない?」
「年が離れてるだろうが全員っ!」
「亜人だから二年で一歳ぐらい年をとるから大丈夫」
「駄目だこいつっ! 四歳にしてハーレムを作る気満々だがなっ!」
「えー」
クリスからドン引きされた。
いいじゃん遊びではなく嫁なんだし……。
と似たような事を話したらその時の修行が凄くきつかった。
……いいけど機会があればクリスも嫁にしますし。
お金は孤児院の皆に見せびらかす気が無いのでその全てを冒険者ギルドに預けました。
◇
その日もクリスに厳しく全員で稽古をつけてもらった時の事。
皆で帰宅した時の事だ。
「久しぶりの訓練でヘロヘロなの、まったく……この後公衆浴場の基礎工事かあ……」
「ご迷惑をおかけしますサラ」
「おこずかいを弾んでくれるからいいの、まあ……駄目駄目シスターも参加すれば良いのに」
「うん大人の手があれば楽なんだけどね」
「そうなの~」
「うんうん」
「仕方ないがな用事があるって言ってたし」
「腐っ……男を連れ込んでだりして」
サキ姉さん子供の台詞では無いですよ。
「でも凄いねシスターは召喚魔術も使えるなんて」
話を変える為に僕は感心した声でシスターを褒め称える。
実は戦闘訓練には実戦形式のメニューも組み込まれていた。
昼食用にとシスターが持たせてくれたお弁当から時限式の召喚魔物が顕現した。
しかも未知の魔物だ。
昼食用にと貰った弁当は昨日お隣のパン屋から頂いたもの物なので完全に油断した。
僕は突然の事にパニック状態になったがクリスは冷静に此れを対処した。
剣鬼の名は伊達ではない。
「「「「「……」」」」」
僕の言葉に沈黙するクリス、キキ、キル、サラ、サキ。
「どうしたの?」
首を捻る僕。
「カイル正気なの?」
「そうなの~」
「うんうん」
「シスターは確かに召喚魔術を使えるが、あれは違うがな」
「腐っ……似て非なるもの…」
「はい?」
五人の言葉に首を捻る僕。
「あれはシスターの作った怪生物だがな」
「そうなの~」
「でもシスターはお隣からの貰い物だと言ってましたけど? 怪生物なら直ぐに僕達を襲ってくるはずなのではないかと」
「腐腐っ……嘘は付いてない殆どが、お隣からの貰い物だったから」
「そうそう」
「なしてか知らんけど今回の様にシスターの怪生物が少ないと怪生物化が遅れるの」
……酷い時限式の罠だった。
「まあ、お腹もすいた事だし食堂でなにか作って食べよう」
「そうなの~」
「食堂に駄目駄目シスターが男を連れ込んでたりしたら面白いかも」
「腐っ…しかも、お金を貢いでたりして……」
「保護者がそんな事しないと思うんだけどクリス姉さん」
「そうなの~」
「うんうん」
子供の言葉ではないなと思いつつ僕は一応のフォローをしておく。
食堂のドアに手をかけた僕は一気に開いた。
「これは約束のお金です」
「いつも、すみませんシスター」
食堂で大量のお金の入った袋を見知らぬ男性に渡している馬鹿が居た。
「「「「「「「……」」」」」」
沈黙する僕を含めた六人。
パタン。
僕はそっと食堂のドアを閉めた。
どうやって……庇えばいいんだ……。
◇
「誤解だ此れは! 商売の為の資金をシスターから借りたんだっ! 離してくれっ!キキ、キル」
「父様の馬鹿っ!」
「浮気者なのなの」
ガリ、ガリ。
僕達に話しかけてきたのはキキとキル父親で三十代後半の男性だ。
二人と同じ青い髪に黒い瞳白い肌を持つ男性だ。
自分の両手にかじってる二人をなんとか離そうとしていた。
「…」
僕はというと涙目でシスターを後ろへやり男を遠ざけるように睨み付ける。
「カイルこの人はキキとキルのお父さんでカラルよ。悪い人じゃ無いよ」
困った顔をしたシスターは僕を嗜める。
「最低がな。奥さんが居る男に貢なんて……」
「いや……クリス話を聞いてた?」
「駄目駄目シスターなの不倫なんて」
サラは頭を振り溜息を付く。
「サラちゃん? おーい」
「ここまで堕ちてるとは腐っ……」
「サキ~保護者として怒るよ」
「シスターは僕の将来のお嫁さん達の一人なのっ!」
「カイルっ! さらっとハーレム発言した上に私も入ってるよっ!」
困惑の中に嬉しそうな声で僕を嗜めるシスター。
満更でもないみたいだな。
「駄目なの?」
僕は泣きそうな顔をして上目遣いでシスターを見る。
「だ……駄目という訳ではないけど……カイルが成人するまでに私の相手が居なければね……」
「やったっ!」
三人目の嫁をゲットッ!
「カイル恐ろしい子だがな」
「腐っ……流石ね」
……かなりカオスな状況になりつつある。
だがカラルは僕の名前を聞いた瞬間、驚く。
はてっ?
「君があのカイル君か……頼みがあるっ!」
「なんでしょうか? 僕のシスターはあげませんよ」
「ちょっと……私は誰の物で…も…」
「ふえっ……」
「あああああああっ! 泣いたら駄目っ!」
慌てて僕を宥めるシスター。
「……駄目駄目シスター」
「話を聞いてくれっ! カイル君! この私に仕事をくれっ!」
土下座です。
もう一度言います土下座です。
大の大人が四歳児に仕事を貰うのに土下座してます。
しかもこの人は元貴族では?
「「「「「「「……」」」」」」」
四歳児に大人が土下座する光景。
それを見て、その場にいた全員がドン引きしました。
◇
二ヵ月後。
後日。
借りたお金で僕から公衆浴場の権利を買ったカラルさん。
彼は意気揚々と仕事に励んだと聞きました。
なんだかなあ……。
まあ管理する手間が省けたと思えばいいか。
……ちなみにお金は足りなかったんで分割です。
……いいけどさあ。
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