第三十五話 六日目 報告前半。
六話投稿します。
此れは一話目。
帝都。
ククル商会の宿泊施設。
その中でも特別な一室に僕達は居た。
僕は皆と相対している形だが、その背後に設置された豪華絢爛な調度品を見やる。
この部屋は王侯貴族専用のVIP室だ。
だからそれに恥じない調度品でこの部屋は飾られている。
壁に掛けられているのは有名な画家による風景画。
購入価格は小金貨二十枚を超えるであろう高価な作品だ。
絵画の下方には豪華な天蓋つきのベット。
このベッドは繊細で豪華な彫刻に金銀の飾りが施されている。
これは高名な芸術家に頼みました。
掛かった費用は小金貨三十枚程。
生地は高級な絹をふんだんに使ってます。
ベットの構造は快適な眠りを約束する為に、バネ式のスプリングが入ってます。
これはこの世界初の仕組みです。
当然です。
僕が教えたんだから。
利用者の方々からの反応は良いです。
寧ろ寝心地が良すぎて苦情が来るぐらいです。
そしてこの部屋の最大の目玉。
それがハイエルフの隠れ里にある、世界樹の枝を削り出して作った荘厳な机です。
ハイエルフ。
分類上はエルフ族の上位とされる伝説上の種族である。
過去の文献に記述されている程度で、滅びたか空想上の存在ではないのかと疑われてる。
レア中のレア。
というのがこの世界での常識だがそれは建前だけの話。
まあ、見た目が殆どエルフと変わらないので区別が付きにくいだけなのだ。
なので前世のゲーム時代でも、エルフ族と同じ感覚で扱う人も居た。
それぐらい見た目では分かりずらいのだ。
普通なら。
僕は一発で見分けたけど。
前世の時にゲームでコツを覚えました。
目の色と耳の尖り具合で見分けます。
後は普通のエルフより強いです。
その要領で捜したら簡単に探せました。
ククル村に。
しかも近所の方々でした。
三人とも。
レアはどこにいったのかと言いたい。
頭が痛いです。
一人目は村に幻術をかける役割を持つ外観が六歳の幼女。
二人目は孤児院の隣のパン屋さんの看板娘。
三人目はククル村の冒険者ギルドの受付嬢。
三人の正体を不可抗力で偶然暴いてしまった為に口止め料としてこの世界樹の枝を頂きました。
世界樹の枝。
枝という名称ですが、実にその重さ1トン程。
物凄いレアな素材のはずなのに、全然ありがたみが無かった。
まあ、ハイエルフの隠れ里でも、落ちた枝を持て余してると言ってたのでこれは仕方ないのだろうが。
サキ姉さんと分けても余ったので、しょうがなくこの机を作りました。
凄く贅沢な使い道です。
まあ代わりに宿泊客からは絶賛を受けたが。
話が逸れた。
「ああ~~なの~~」
「なのなの」
「う~~がな」
そのベットの右隣の床で、クリスとキキにキルが悶えて居た。
下着見えてるんだけど……。
「う~~ぐぐぐふ~~ぐふ、ぐふ」
その反対には拉致した豚王子を拘束し転がしている。
……なんだろう。
この異様な空間は。
まあ良いだろう。
机の前に用意された椅子に残りの皆が腰掛けていた。
僕もまた年代物に見えるように作った、この部屋に合わせた調度品の椅子に腰掛ける。
この椅子も高名な彫刻家に彫刻を頼んだ特注品だ。
一見そうには見えないが。
地味な見た目に反し実は物凄い高級品なのだ。
机の中央には新鋭の陶芸家が焼いた花瓶の中に花が飾られていた。
その他には、焼き菓子の入った皿が机に置かれ飾られている。
それとは別にサキ姉さんの書いた薄い本を印刷した物が置かれてある。
全巻。
しかも男性、女性、全年齢対象向けの計三種類。
実は目玉の世界樹の机よりも、此方を目当てに来館してくる人もいる。
かなり沢山の人が。
気にしたら負けだろうか?
紅茶ポットの中身はすでに無い。
すでに先程全員で飲み干したからだ。
何故か皆、異常な程おかわりしていたからな。
クリスとキキ、キルに僕を除いて。
豚王子の分?
あるわけ無いよ。
なので報告の途中ですが追加の紅茶を従業員に頼みました。
「そんなに紅茶が美味しかったんですか?」
そのあまりの飲みっぷりにの良さから、思わず僕が聞いてしまったのは仕方ないと思う。
「「「「「「「「「「本気で聞いてる?」」」」」」」」」」
と皆に心底あきれ返られました。
何で?
僕が疑問に思って口にしたのは仕方ないだろう?
とはいえ飲み物が無いと間が辛いので追加で紅茶を頼みました。
まあ他の品も頼んでますが。
他の部屋から持ち込んだ椅子が多いので、今調度のバランスが悪いですよ。この部屋。
まあ~~この部屋は元々多人数を想定してないのでこれも仕方ないでしょう。
皆にこの部屋に集まってもらったのは、ここが一番防音性に優れてるから。
部屋の中の会話を他者に漏らしたくないからです。
「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」
皆はと言うと、僕の報告に口を開けて唖然としていた。
何でだろう?
まあ今は状況を思いだしながら整理し、要点を話す事に集中したいので気にしないでおこう。
コンコン。
「会長」
「はい」
「紅茶をお持ちしました」
「有難う」
話を一旦中断する。
侍女服を着た見た目十代前半程の小人族の少女が部屋のドアを叩き部屋の中に入ってきた。
彼女は紅茶を皆に丁寧に入れてくれる。
僕の番は最後で、その時に何かが書かれた紙片を渡してくれた。
紙に書かれているのは僕が頼んでおいた調査結果だ。
ふむ。
やはりですか。
厄介ですね。
僕は書かれた内容に目を通し終えた。
その紙を紅茶と共に僕は飲み込み証拠隠蔽する。
まあ、今はそれより報告ですね。
そうして僕は報告の続きに入る。
「という訳で戦いを終えた僕達は、あの後王宮に乗り込んで黒幕を捕まえました」
と言いつつ僕は部屋の隅に転がしている豚王子を指差す。
亀甲縛りに口を布で塞がれた豚王子は、苦悶の唸り声を上げるが無視。
え?
この豚王子を捕まえる時の戦闘シーンはどうしたかって?
はっはっは。(誤魔化し笑い)
暗殺者のスキル使った反動が酷いのですが……。
ステータスが下がった上に、体力と気力も使い果たした僕にあれ以上どうしろと?
そんな状態の僕が王宮で戦闘なんか出来ませんよ。
まあクリス、キキ、キルを戦闘の中心にして豚王子を捕縛しただけ。
「……という訳です。終わり」
ふう。
僕は溜息を付く。
通信用マジックアイテムを作動させたペンダントを弄りつつ、僕は椅子に座り直す。
そして再度注ぎなおしてもらった紅茶のティーカップを手に取る。
コク。
「ああ~~うまい」
そのまま僕は従業員に入れてもらった紅茶を飲む。
ああ~~そうだ。
ミリア達三人には、冒険者ギルドを通し適当な指名依頼を出した上でこの国を出てもらいました。
三日ほど此処から離れてもらう予定です。
孤児院ののメンバーと鉢合わせになったら面倒な事態になりそうだからです。
「「「「「「「「「「「まてえええええええええっ!」」」」」」」」」」
何故か全員が僕を怒っていた。
かなり。
温厚なマリさんまで怒ってました。
「はい? どうしました」
僕は訳も分からず首を捻りながら答えた。
何ででしょう?
評価をお願いします。




