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第二十二話 クリスの愚兄

本日三話目

 村人達と孤児院のメンバーを集合させる僕。


「う~~がな。まさか糞兄貴が黒幕とは……今回の事は下手すれば戦争だぞ。分かってんのか」

「あの豚王子なら間違いなく何も考えてないと思うよ」

「カイルと面識があるんだがな」

「うん。帝都のハイダ家に有るククル商会に、強盗した上で従業員にまで手を出そうとしたんだ」

「うあ~~がな」


 くねくねと体が動くクリス。

 身内の恥がもの凄く恥ずかしいのだろう。


 クリスはいつもの雄雄しさはなく、うな垂れていた。

 僕はそんなクリスの肩に手を置く。

 するとその手を掴まれて引き寄せられる。

 クリスの体は震えていた。


 あのう……僕の顔に二つの柔らかくて良い匂いのする物が当たるんですけど……。

 離れたら駄目ですか?

 あれ……何で鳥肌が出来てるのクリスさん?

 

 ふう。

 ようやく離してくれた。

 

 うん?

 いつもはこんな場面が出来たら怒り出すサキ姉さんが静かだ。

 どゆ事?

 サキ姉さんを見るとクリスを物凄く哀れんでいた。


「腐っ……あの豚。また人様に迷惑を掛けたのね」


 しみじみと呟くサキ姉さん。

 『また』ってそんなにかい……。


「あの変態兄貴嫌いなんだ。昔の事だが俺に……欲情しやがった事もあるがな」

「ほう」


 ビクっ!


 そんな音が聞こえそうなほど僕以外のメンバーが震えた。


「あのう~カイルはどうしたのかな? 怖い顔をして」

「そうなの」


 シスターとサラが手を振りながら僕を宥めようとする。

 かなり緊張してる。


「腐っ……昔の事よ。ククル村に来る前の……」

「そうそう。未遂だったがな」

「つまり幼いクリスを手篭めにしようとしたと?」


 ニッコリと僕が笑うと震え上がるサキ姉さん。


「「「「「御主人様あああっ! 顔が怖いんですけどっ!」」」」」


 アカやクレナイ、ルージュにシンクとエンが顔を引きつらせる。


「あっ……御免ね。これでいい?」


 僕はあわてて取り繕う。


「「「「「目が笑ってないんですけどっ!」」」」」


 更に震える五人のドラゴン達。

 ……どうしろと。




「となると、あの時の僕の仕打ちの逆恨みかな?」

「何をやったがな?」


 何故か冷や汗を流すクリス。


「え? ちょっとお仕置きした程度だよ」

「もう少し具体的に聞きたいがな」

「コイツラ達と一緒に股間の物を踏み潰しただけだよ」

「やりすぎだがなっ!」


 僕の言動に震え上がるクリス。


「大丈夫っ! 全員【快癒】で治療したから」

「そんな問題じゃないがなっ!」

「そう? まあその後また十回程全員踏み潰したけど問題だったかな?」

「最悪だっ!」


 なぜか顔を青くするクリス。

 村人の男達は全員股間を押さえ顔を引きつらせていた。


「あのうカイル?普通は不敬罪で一族郎党縛り首よ? 本来なら」

「そうなの? 婦女暴行未遂の現行犯だけど一応その当たりを考えて手加減はしたんだけど……」

「手加減してそれって……」


 僕はシスターの言葉に首を捻る。


「そうですか? クリスのお父さんに報告したけど別に何とも言われなかったけど?」

「なあああああああがなっ! 何を言ったんだっ!」

「えっと、この国の第二王位継承者を名乗る男が僕の商会に強盗に入った上に女性従業員に性的暴行をしそうだったので半殺しにて簀巻きにしました……と言ったけど?」


 僕の言葉に絶句する一同。


「腐っ……それで?」

「え~と『そうか婿殿。我が不肖の息子が迷惑を掛けた、こいつに償いをさせるので今回の事は許してくれないか』だって」

「どおりで王位継承権を剥奪されるはずだがな、しかも幽閉されたと聞いた時、何事かと思ったがな」

「でもこいつ等が動いてると言うことは、もう彼は自由の身なんでは?」

「否。そんな筈はない。だとしたら俺に連絡が来てるはずだがな」

「誰にも気がつかれないように、幽閉場所から行き来していれば?」

「そんな事が出来るはずが無いっ!」

「例えば何人か買収してれば?」


 僕の言葉にクリス息を呑む。


「ありえない。だとしても良識の有る者が糞兄貴を閉じ込めてるはずだっ!」

「だとすれば何らかの方法で外のこいつ等と連絡を取り戦争……否、騒動を起してその隙に逃げ出そうと考えてたというのは?」

「幾らなんでも違うがな。仮にも王族が守るべき民に害を成してまでそこまでする分けないっ!」


 あ~~。

 クリス噂の方は知らないんだ。


「でもククル商会には強盗に入りましたけど」

「……」


 僕の言葉に黙るクリス。


「待ってください」

「どうしました村長?」

「その話が本当なら、我々はそんな事のとばっちりに巻き込まれたんですかっ!」


 村長達は僕の言葉に怒りをあらわにする。


「それがどうかしました?」

「それがどうしたって……その所為で私達の村に被害が出たんですよっ!」

「「「「「「「「「「そうだ、そうだっ!」」」」」」」」」


 村長の言葉に続くように言葉を荒げる村人達。


「それで?」

「それでって貴方はっ!」

「何か勘違いしてませんか村長?」

「はい?」

「此処で僕が言ってる事は唯の憶測です。誰も真実だとは言ってませんよ」

「し……しかし」

「それに貴方達は忘れてませんか? 僕達を襲った時点で被害者側ではなく加害者側になった事を」


 僕の言葉に沈黙する村長と村人。


「とは言えこの憶測が正しいとしたら、馬車に有る手紙は豚王子の手の者の仕業と考えた方が自然ですね」

「なんで?」

「戦争を起すために、元王族のシスターもしくはサキ姉さんにクリスをここの村人に殺させる。その報復で王都と帝都のハイダとアガスはグルス家に宣戦布告をするという筋書きでしょう」

「まってくれ……幾ら糞兄貴でもそこまではしないだろうっ!」

「実際殺されそうになってますが? たとえ上手く凌いだとしても村人を殺した僕達がグルス家にドラゴンで現れればそれででも宣戦布告とされてましたよ」

「……」


 沈黙するクリス。


「問題の手紙は誰が持ってきたかです」

「キキ達じゃないの?」

「シスター。先程の僕の言った事を忘れたんですか」

「あっ……」


 シスターは自分のアホな発言に顔を赤らめる。


「駄目駄目シスターの残念な発言はほっとこ」

「サラちゃん酷いっ!」


 なんだろう~~この何時ものやり取りは……疲れる。


「普通に考えればククル商会の従業員の買収なんでしゃろね」

「腐っ……若しくは未知の或いは習得を禁じられたジョブのスキルかね」


 ああ……あったね。

 昔ゲームをやってた時に製作者が敵役専用に作ったジョブがあったな……。

 当時は製作者は軽い気持ちで作られたらしい。

 だがあまりの凶悪な能力にゲーム内で国一つが滅び、急遽封印されたジョブが幾つかあったな。

 

「とは言え憶測の段階ですし、キキ達にも聞いてきます」


 それに此れはあくまで憶測。

 真実だとはまだ限らない。


「どうやって?」

「王宮に忍び込んで直接聞きます」

「「「「「「「「「「なに考えてるのっ!」」」」」」」」」


 五人のドラゴン達それにシスターにサラ、サキ姉さんとクリスに突っ込まれた。

 村人達はドン引きです。


「いや、だって誰が味方か分かんないし」

「いやいや。親父の奴この間の事があったから警備を厳重にすると言ってたがな」

「それにキキ達も同じ事言ってたよっ!」


 クリスとシスターの言葉に僕は拳を握り締める。


「燃えますっ! 忍び込みがいがあるじゃないですか」

「止めんかがなあああああああああっ!」


 この後クリスに折檻されたのは言うまでもない。(グスン)

 

 




PS この後、帝都に普通に入って地道に情報収集してからどう動くか決まりました。


 








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