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第十七話 旅。四日目

遅くなりました。

本日は三話あり。

 旅を始めて四日目の事だ。

 それは唐突だった。

  

 襲い掛かってきたオーク達を秒殺し、お昼御飯にしてた時の事だ。


「美味しいですね~~このオーク」


 塩焼きにしたオークの太腿をかじるシスター。


「笑えましたの『オラノエモノッ!』て叫んでたのに自分が食われてるんですの」


 オークのバラ肉を串で刺し塩コショウして焼いた物を食べるサラ。


「脂が乗って旨いがな」


 オークの腸を鉄板で焼いて食うクリス。


「腐っ……肝がいいね」


 肝を山菜と炒めた物を食べるサキ姉さん。


「「「「「美味しい」」」」」


 残りのオークの足と頭部を大鍋で塩と水に酒でジックリ煮込んだ物を食べるアカ、クレナイ、ルージュ、シンク、エンの五人。


 ……うん。


 旨いのは良いんだが見た目がグロテスクだ。


 何故だろう。


 内容はお昼御飯。

 しかし見た目が残酷な地獄絵図なのだが。


「なんて僕達は罪深いんだろう……」

「どうしたの? カイルちゃんと食べてる?」

「ええ……ただ昔は魔物とはいえ知性の有る者を食べるのは気後れしてたのに、今では馴れた物だなと思って」

「腐っ……誰もが通る道よ。食べるという事は誰かの命を貰うと言うこと」

「ええそうですね。感謝して食べないと」


 サキ姉さんの言葉に両手を合わせる僕。


「ピギーッ! オンナッ!」

「ナエドコニ、スルッ!」

「オンナ、オンナ」


 そこへ現れる三匹のオーク。


 先程僕達を襲ってきた奴等の生き残りだろう。

 そいつらは手に錆びた剣を掲げ僕達に襲い掛かってくる。


 それより……。

 

 ブチン。

 

 僕の堪忍袋が切れる音がした。


「誰を苗床にするって? 僕の将来の嫁達になに言ってる! この豚人間どもがああああああああああっ!」


「「「ブブブヒッ!」」」


 すぐに僕は【氷結】を起動させオーク達を串刺しする。

 

「きゃはっはははははっ! ざまーみろっ!」

「……口ではなんだかんだ言ってもカイルが一番罪深いと思うの。同意見の人手を上げて」


 僕が嬉々としてオーク達を串刺しする僕をみて呆れ顔のサラ。

 

「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」


 僕以外全員手を手を上げました。

 なんで?



 ◇



 お昼を食べ終え休んでいた時の事だ。


 今まで風上だったが突然風下になった時の事。

 森の奥から卵の腐った匂いがしてきた。

 奇しくもそれは僕が先程まで風上に向かっていた方角。

 弓兵のジョブの【鷹の目】を使い遠くの景色を見ると湯気を上げる水溜りを見つける。

 近くに黄色い粉をこびり付かせた岩山を発見した。


 ……硫黄かな?


 という事は温泉か。


「臭いねえ」

「臭いですの」

「臭いがな」

「腐っ臭いねえ」

「臭いよ~」

「ZZZ臭くて寝られない」

「臭いっ!」

「くさいの」

「……毒ガス」

「臭いですやん」

「そうだね」


 シスター、サラ、クリス、サキ姉さん、アカ、ルージュ、クレナイ、シンク、エン、シャルそれに最後に僕の順番で呟いた。


 鼻を刺激する異臭。

 卵の腐ったような匂いに全員が顔を盛大に歪ませた。


「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」


 と、その場に居た全員が鼻を摘みながら僕を見る。

 なんで此方を見る。

 オナラなんかしてませんからね。


「この匂いは硫黄ですね」

「硫黄?」


 僕の言葉に疑問をかえすアカ。


「腐っ……という事は温泉が近いわね」

「ZZZ~温泉ってなんですか?」


 サキ姉さんの言葉にルージュが寝ぼけながら質問をする。

 温泉が分からないのか……。


「腐っ……天然のお風呂です」

「「「「「「「「お風呂っ!」」」」」」」」


 サキ姉さんの言葉に目の色を変えるその場にいる全員。

 そう言えば……旅の間お風呂入ってなかったな。


「言っとくけどまだここら辺ではは入れないよ」

「「「「「「「「「え~」」」」」」」」」


 僕の言葉にその場に居たサキ姉さんシャルを除く全員が不満の声を上げる。


「人が入浴するには温度が高すぎるんですよ」


 重度の火傷で死ぬこと間違いなしだろう。


「「「「「私達は溶岩に入っても平気ですので入ってきても良いですか?」」」」」


 アカ、シンク、ルージュ、クレナイ、エンが自分達を指差して言う。


 ……そういや君ら炎無効化能力持ってたな。


 というか高温の溶岩にも有効なのか?


「いいけど。高温の温泉が湧き出る所は高い確率で有毒性のガスを発生させてるよ」

「「「「「それぐらいなら……」」」」」


 いいんかい。

 ドラゴンて出鱈目だな。


「臭いよ。この匂いだから」


 僕は今匂ってる硫黄の香りの事を教える。


「「「「「全力で辞退させていただきます」」」」」


 はやっ!


 五人の人化したドラゴン達は前言撤回した。

 意趣返しが早いな~~。


 というか溶岩が大丈夫なら有毒ガスも平気と思うけどね。

 匂いが駄目か。

 


「それはそうと、なんで此処を通って目的地まで行くの? カイル」

「正確に言えばもう少し進んだら先触れを出して、ドラゴン化したエン達に乗って目的地に行くんですけどね」


 サラの疑問に肩を竦めながら答える僕


「それは何でまたがな」

「よく考えてください。何故キキ達は僕達に正体を隠してドラゴンに乗って来て欲しいと書いたと思います?」


 クリスの言葉に僕の考えを話す。


「……そうしなければいけなかったがな?」

「その通りです」

 

 クリスの言葉に相槌を打つ僕。

 

「でも誰に? あの時法王国を攻めいった時には帝都もしくは王都の王族や重鎮は私達が仮面を被ってた中の人だっては知ってる筈よ?」

「あの場に居なかった者というのは確実です。それとその中ににキキとキルが居たという事を知られたくないという人ですかね」


 シスターの疑問に僕は手を広げながら自分の考えを聞かせる。


「なんで?」

「そういう風に偽装して欲しいという要請があったからです」


 シスターの言葉に手紙の内容を思い出しながら答える。

 手紙には僕達は七人居るように見せかけ仮面を被ってドラゴン達に乗るようにと書いてあった。

 

「腐っ……でも足りない。仮面を被った私達の偽者はどうするの? あの時は七人でしょう? 人数が足りないわよ」

「幻術で作ろうにもそんな事は出来ないし……」


 サキの言葉に頭を抱えるシスター。


 幻術では複雑な動きが出来ないしね……。

 しかも幻術で作った物は突発的な事に対処できませんし……。


 そう幻術(・・)なら。


「僕なら出来ますけど?」


 暗殺者のジョブ【幻身】を思い浮かべそう言い放つ。


「「「「「「「「「「はいっ?」」」」」」」」」

「僕の所有してるジョブなら出来ますけど」


 暗殺者のジョブにある固有幻術【幻身】。


 元々情報収集や破壊工作用として考えられた物だ。

 他には敵を欺いたりアリバイ工作するのに使う。

 その為、自己の判断で動き場合によっては僕と五感の共有なんかも出来る。


 まあジョブのレベル次第だが。


 戦闘力は微妙なのだが応用力が異常に高いのだ。


 暗殺者というジョブは。


 因みに【幻身】の戦闘力はジョブ所有者の総合レベルの十分の一。


 現在の僕の暗殺者のレベルは十五。


 これを基本に下位ジョブのレベルが加算される。

 中位のジョブも持ってれば加算されるが持ってないので除外。

 

 下位ジョブのはレベルは上位ジョブのレベルが十一以上で同時に上がる。


 これに中位があれば同時に上がるが現在は持ってないので除外する。

 具体的に言えば幻術師と盗賊で取れる怪盗。

 気功師と薬師で取れる東洋医師。

 などがある。

 まあ取ってないので意味が無いのだが。


 話が逸れた。


 暗殺者は上位の前衛なので後衛であるジョブのレベルはは三分の一。

 それぞれ薬師、気功師、幻術師は五レベルになる。

 盗賊は前衛なのでレベルの三分の二。

 なので十レベル。

 これに基本の暗殺者は十五レベルを足した物となる。

 合わせて四十レベル暗殺者が今の僕だ。

 【幻身】はこの十分の一のレベルになる。

 つまり四レベルの戦闘力を持つ分身になるのだ。

 


「ほら」


 【幻身】を起動し近くにもう一人の幻で出来た僕の分身を顕現させる。

 そのまま分身の僕は欠伸をする。

 

 唖然とする皆。


「なあああああああああ! 未発見のジョブがな!」

「駄目駄目シスターより凄いのっ!」

「サラちゃん酷っ! でも凄いね」

「腐っ……派生条件はなに? と聞く訳にはいかないわね」


 クリス、サラ、シスター、サキ姉さんの順で僕を絶賛してくれた。


「「「「「「御主人様凄いっ!」」」」」


 五人の人化したドラゴン達にも褒められた。


「それ程でも」


 皆の声に僕は照れる。

 その時、突然サラは険しい顔をする。


「危ないのっ!」


 サラは光り輝く木の枝で何かを弾く。


 キンッ。

  

 ドスッ。

 ドスッ。

 ドスッ。


 そんな時に何か風切音がして三本ノ矢が僕の近くの大地に刺さった。


「動くなっ! 荷物と金を置いていけっ!」


 そんな言葉と共に山賊らしき人影が数人、茂みから現れ弓矢を構えていた。




 はい?

 なんですか?

 この展開?

 





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