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第百四話 覗きスポット

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 三十分後。


「此処です」

 

 僕はとある露天風呂が覗ける場所に来ていた。

 無論皆に頼んで捜して貰った場所です。


 目の前には天を突き刺すほど高い針葉樹らしき木々。

 多分だけど杉に近いな~~。

 その先端は弓兵のジョブが無ければ霞んで見えない。

 その途中の枝はかなり密集しており登りにくいのは直に分かる。

 樹木の太さは大人四人分の胴体位か……。

 まあいいけど。


「此処かあ~~」

「木が一本あるだけじゃないか……」

「ふああああ~~眠い」

「もう帰るか……」

「はああああああ~~」

「騙された……」


 街の外れの杉に似た高い木を前に項垂れる六人。

 物凄くがっかりしてるみたいだ。

 というか欠伸をしながら帰ろうとしてるんだが?


 ……何で?


「此処から上に登れば一番近くの女性の露天風呂が見えます」

「「「「「「ほう……詳しく聞こうか?」」」」」」


 あんたら~~。

 なんで行き成り真面目な顔をする?

 やってる事は犯罪なのに……。

 まあ正確には犯罪・・にはならないけどね。


「但し、今から三十分が限界ですね」

「何でまた?」

「巡回が来るからです」

「「「「「「ほうほう」」」」」」

 

 懐から懐中時計を取り出すと時間を確認する。


 うん。

 予定なら四十分後に衛兵が来るな。


「う~~ん」


 逃走時間は十分で良いか。


「覗きに三十分、逃走に十分それ以上は駄目ですよ」

「「「「「「分かった」」」」」」

「それ以上は面倒はみませんからね」

「「「「「「分かった」」」」」」

「此方の想定を超えた不測の事態を起こしたら保証金の対象外ですので」

「「「「「「分かった」」」」」」


 何故巡回ルートを知ってるかって?

 予め巡回予定を入手してるからです。

 キキ達の権限を使い巡回ルートを手に入れましたからね。


 なお衛兵の人達は僕達が覗きをする事は知らない。


 ――という事になってる。


 一部の者を除きだが。


 当然だ。


 逮捕劇に真剣さが無くなるからね。

 

 僕の言葉にやる気の無い眠たげな顔だった六人の男が立ち止まり振り返る。


 うん。


 キモイ笑顔だ。


 今すぐにでも巡回してる衛兵に突き出せるレベルだ。

 やらないけど。

 

 赤字になるしね。


「おい押すなっ!」

「ふざけるなっ! 俺もお金を払っているんだぞっ!」

「はあ~はあ~~」

「生裸あああああああっ!」

「ひひっひひひひひい~~」

「良い眺めだぜ」


 登るの早いなっ!

 もう登ってるよっ!


 眼前に広がる桃源郷に喜ぶ六人の男達。


 うん。


 全員弓兵のジョブ持ちでよかった。


 出なければ望遠鏡を貸す羽目になるところだった。

 捕まれば証拠物件として戻ってこないし。

 出切れば貸したくない。

 あれは高いからねえ~~。

 赤字になるしね。

 

 


 さて。


 目の前の光景は醜いな。


 欲望に目を曇らせてる男達。


 キモイ。


「皆さん~~あまり大声を出したら駄目ですよ」


 僕は声が大きくならないように注意して六人に話しかける。


「何だてめえええええっ! 俺達は客だぞっ!」

「そうだぜ黙って見てろよっ!」

「ひはああああああああああっ! 凄い良い眺めだぜっ!」

「ロリが居るぜっ!」

「良い女だぜっ! むしゃぶりつきてえっ!」

「はあはあはあはあはあはあっ!」


 うん。


 聞いて無いな。

 特に最後の男なんか特に。

 しかも何人か樹木に腰を押し付けてるんだが……。


 キモイなあ~~ゲフン。




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