1/16
プロローグ
私は長くはないだろう。そういう予感があった。
体が思うように動かなくなってからもう1年ほど経つ。
そして今日、ようやく望んでいた報告を聞くことができた。
私の世界から色が失われたあの日から10年。
もう何も思い残すことはない。ようやくこの世を去ることができる。
その日から10日後、私は永い眠りについた。
これでようやく逝くことができる。
13年前に時を刻まなくなった彼女のところに。
そう…思っていたのに。
気がつくと、薄暗い部屋の中に立っていた。
足の役目を果たさなくなって久しい自分の足で。
ここはあの世か?
私は確かに死んだはず……。
目の前の数人を眺めながら、そんなことを考えていた。
読んで頂きありがとうございました。