終章「曖昧に過ぎていく毎日」
僕は目を背けている。
何も見ないようにしている。
僕は耳を塞いでいる。
何も聞こえないようにしている。
それによって何かが変わる訳でもなく現状維持にしかならない。
それはただの先延ばしにしかならない。
犯した過ちを無かった事にすることはできず。
ただ来るべき裁きに身を震わせる。
それが何なのかはわからない。
ただとても大きな何か。
全てを蹂躙して
全てを殺戮して
全てを破滅して
全てを無にする
――だから僕はまた目を瞑る。
――そうして僕はまた夢を見る。
×
目を開けるとそこは見慣れた居間だった。
どうやらテーブルの上で突っ伏して寝ていたようだ。
頭がぼーっとする。
時計を見ると午後1時。
僕のすぐ横には阿形と吽形が気持ち良さそうな顔で抱き合いながら、丸まって昼寝していた。
なんだか不安な気持ちが吹き飛んだ。
僕の向かいには祀が難しい顔をして何かを作っている。
彼女の手の中には銀色の鎖が握られていた。
なにかペンダントを作っているようだ。
きっと中に何か入れているのだろう。
やはり写真とかだろうか。
特にする事はないので暫く彼女の作業を見詰める。
「夜行」
祀が僕を呼んだ。
「ん?」
我に返った僕。
彼女は僕に向かって、さっきまで作っていたペンダントを差し出す。
「くれるの?」
「ええ、元々そういう目的で作っていましたし」
「えと……ありがとう」
僕は恐る恐る彼女の手にあるペンダントを貰う。
今日は僕の誕生日でもないし、一体全体どんな風の吹きまわしか知らないがここは素直に喜ぼう。
――そうして僕はまた知らないフリをする。
静謐夢想を読んでいただきありがとうございます。
四畳半です。
今回は前回書ききれなかったキャラと絶対に出したい妖怪のキャラを紹介する為に作った作品です。
正直に言うとこれだけのキャラをちゃんと一本の物語で扱えなかったのは僕の力不足です、すみません。
そんな訳で正直に言うとこの作品は日常系SSと言うよりまんま登場人物紹介です。もっとも舞子とか一部のキャラは登場しても殆ど出番が無かったり空気だったり。
では内容について簡単な説明を。
第1部……妖怪なのに鬼が出てこないのはおかしい。
第2部……狐耳が居ないのは切ない。
第3部……座敷童子ってネタ的に美味しいので。
第4部……狐が居るなら狸も居なければ。残りの書きたい人物を纏めて入れたおかげで中途半端な群青劇に。
第5部……どう見ても伏線です。
ざっとこんな感じです。
……作者はもうきっとSSには手を着けないでしょう。
ツイッターで宣伝してくださったフォロワーの皆様、そして拙作を読んでくださった皆様ありがとうございました!
登場人物のほとんどがクラスメートなのに学園シーンが無いって……