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極み  作者: 甲斐田誠
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監獄島

その頃、桐生は監獄島で過酷な日々を送っていた。


看守たちは「懲罰」という名目で、桐生にムチを振るい続ける。

懲罰の回数が5回に達すると、別室へ連れて行かれ、全裸にされる。

寝る場所は土の上――硬く冷たい地面で、夜の冷気と湿気に晒されながら、1週間を過ごすことになる。


食事は与えられず、自分で釣った魚だけが命をつなぐ手段だった。

孤独と絶望、そして過酷な環境が、桐生の身体と精神を容赦なく蝕んでいった。


桐生の懲役は、他の囚人とは違った異例のものだった――雑巾3枚。


与えられた3枚の雑巾は、毎日の刑務作業で使い続け、完全に擦り切れるまで使い尽くさなければならない。

1枚目が破れれば次の雑巾に替え、2枚目、3枚目も同様。

3枚目が完全に擦り切れるまで、桐生の過酷な監獄生活は終わらない。

もしくは、身長200センチ、体重200キロで元ファストフード店の店長をしていた女看守長グレート鈴木を拳のみで倒すしかない。


土の上で眠り、釣った魚だけを食べ、体を鍛えてムチでの懲罰に耐えながらも、雑巾を握り続ける日々――

それが、桐生に課せられた道だった。


そんな地獄のような環境の中で、桐生にとって唯一の希望は、月に1度届くセレナのママとの文通だった。


手紙にはいつも、天気のことが一言だけ書かれている。


「雨。」


短い一言だけだが、桐生はその文字を握りしめ、土の上で眠る夜を耐え抜いた。

労わりも励ましもない。それでも、このわずかな情報が、彼にとって唯一の外界との接点であり、心の支えとなっていた。

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